海の水質汚染による生き物への被害
生態系に影響が出る
汚染水の中でも有毒な化学物質が含まれていると、生き物はそれが体内に入った場合、病気や最悪死亡してしまうことがある。そして、その生き物が死亡して個体数が減少すると、その生き物を食べていた生き物の食べ物がなくなり、生態系は破壊されてしまう。
また、汚染水が植物性プランクトンの体内に入ると、それを動物性プランクトンが食べ、さらにそれを小魚が食べると続いていき、植物性プランクトンが取り込んだ汚染水はどんどん伝わっていってしまう。そして、生物濃縮、すなわち外から取り込んだものが環境中におけるよりも高い濃度で生き物のなかで蓄積する現象が起き、より濃い濃度の汚染水が食物連鎖を通じて生物同士に伝わっていく。よってこれは負の連鎖でしかないのだ。
船の油による被害
取扱不注意や船舶事故で船の油が海に流れてしまうことがある。船の油も海洋汚染の原因の一つである。また、生物にも大きな影響を与えている。
以下が、油による生物への被害の例である
①魚などは素早く泳ぐことができるため一時的に油から逃れることができる。内湾や養殖場など閉鎖的な空間で一時的に流出した油から逃れられない魚や植物、プランクトンが大量死するおそれがある。
②油が付着しやすく、魚のエラや体表に付着すると機能不全を起こし、稚魚や卵は抵抗力が低いため死にやすくなる。
③水鳥、海獣は水鳥は石油で汚れた羽や体毛を口で触るため体内に油を取り込んでしまう。また、水鳥はその体表に油が付着することがあり、羽毛が空気を蓄えられず遊泳や飛翔が困難になったり体温の低下を引き起こしたりする。加えて、皮膚から油が直接浸透することや蒸発した石油成分を吸い込むことで内臓の損傷や神経への作用で行動障害や知覚障害を起こしてしまうこともある。
④海藻類についても油の付着による光合成の阻害により成長不順が起こる場合がある。
⑤海洋の食物ピラミッドの土台となっているプランクトンが油によって減少することもあり、魚の餌が激減して魚が大量死するおそれがある。。
⑥油流出後しばらくすると、珪藻類などの特定のプランクトンが繁殖することで赤潮の発生に結びつく可能性がある。
このように一回船の油が流出するだけでこれだけ生物に被害が出てしまう。

