「娘を返せ!?」デメテル大激怒事件
ゼウスとデメテルの娘のコレー(処女神)はとても美しい娘でした。 その美しさゆえにアポロン、へファイストス、ヘルメス、アレスなど(後述)あらゆる男神が贈り物を手に求婚にやってきます。 ですが母デメテルは全て却下し、娘の安全を守るためにはシチリア島に隠していました。 ある時、シチリア島のエトナ山が凄まじい噴火を起こしました。 地面に裂け目ができていたら、亡者たちが遅れてしまうので心配になったハデスは調査へと出かけました。 どこもぐらついていないことがわかると安心して冥界に帰ろうとしましたしかしその途中にコレーの姿が目に入り、一目惚れをしました。 しかし、ハデスは他の神々と違って感情のままに女子を掻っ攫うことはせず。 コレーの父、ゼウスの元に出向いて許可をもらいました。 その後、美しい一輪の水仙の花を咲かせ、コレーを呼び寄せました。 コレーが水仙を摘もうとすると大地が裂けてハデスがコレーを連れ去りました。 コレーが行方不明になったことに気がついたデメテルはコレーを探しに大地も海の上も駆け回りますが、神も人間もコレーの行方について誰一人として口を割りませんでした。 そこで、デメテルは全てを監視している太陽神ヘリオスへと詰め寄ります。そうしてようやく、ゼウスの許可の元ハデスが冥界へと連れ去ったことが明らかとなったのでした。 これに怒ったデメテルはエレウシスという場所に立てこもって自らの職務を完全放棄し、地上に一切の植物が生えることを禁じました。神は自分にお供えものをしてくれる人がいなくなってしまうと、飢え存在できなくなります。 天上の神々はこれに焦り、全ての神々をデメテルのもとに送り説得に当たらせました。 物で釣ってみたり、ほめ殺しをし、最終的にはゼウスまでもが説得にやってくる始末でした。 ですが効果は見られず、デメテルは頑なに聞き入れませんでした。 ここでようやくヘルメス(尻拭いのプロ(後述))にハデスにコレーを返すよう説得に向かわせました。 ですが、冥界にやってきてハデスの館の寝室に踏み込むとコレーはもうコレー(処女)では無く、ペルセポネ(光を破壊する女性、眩い光という意味とされる)と呼ばれていました。 もう手遅れ感は否めませんがヘルメスは説得に挑みます。 ですが、ハデスは眉だけを上げて薄く微笑み(ハデスは「微笑まぬ者」なので、眉をあげて微笑みを表す)ました。 ハデスは快く説得に応じ、ペルセポネに優しい言葉をかけました。 歓喜したペルセポネはすぐさまベットから身を起こし、ヘルメスは安堵で瞳を閉じます。 そして、ハデスはその一瞬の隙をつき、ペルセポネに甘い柘榴の実を一粒食べさせました。こうして意気揚々とペルセポネは地上へと帰って行きましたが、母デメテルと再開した時にようやくハデスの策略に引っかかったことに気がついたのでした。 冥界で食べ物を口にした者は冥界に繋ぎ止められてしまうというルールがあったのです。 そうして、一年の3分の2は母デメテルと、3分の1は夫ハデスの妻として冥界で暮らすこととなりました。 デメテルはその3分の1の季節を憎み、この間を「植物を芽生えさせぬ不毛の時期」としました。こうして四季が生まれました。
