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 キリスト教の結婚式

 キリスト教は一夫一妻の家庭が多いですが、一夫多妻制を禁止しているわけではありません。聖書(キリスト教の教典)には、「一夫一妻制であるべき」「一夫多妻制は禁止」などという表記はありません。そのため、キリスト教は一夫多妻制を許可しています。キリスト教の結婚式は宗派によって違いがあります。その中でもカトリックやプロテスタント、正教会の3つを紹介します。
 まずは、カトリックについて紹介します。カトリックにおいての結婚とは「秘跡(神の恵みを人間に与える儀式)」という考え方です。そして、世界で最も美しい結婚式といわれています。カトリックの結婚式は昔ながらの形式を維持しており、バージンロードの色は「赤」または「緑」を使用します。
  カトリックでは、新郎新婦少なくとも片方が信徒でないと結婚式を挙げられません。花嫁は、キリスト像が付いた十字架(=ロザリオ)を身に着けます。十字架は聖母マリアへ祈りを唱えるときに使用します。また、神父様が新郎新婦を祝福する際には、十字が切られます。右手を額・胸・左肩・右肩の順番に動かします。これらは、キリストやマリアに対する信仰表明です。
 式に出る際の花嫁衣裳にも意味があります。キリスト教ではウェディングドレスが有名ですが、みなさんはドレスが持っている意味を知っていますか。ウェディングドレスには、花嫁の実家の経済力や社会的地を表しています。家紋の刺繍が入っているものもあるそうです。日本の花嫁は、可愛さを基準にドレスを選んでいる人も多いでしょう。ですが、見た目だけでなくウェディングドレスの持つ意味を学んでからドレス選びをするのも楽しいと思います。
 次にプロテスタントについて紹介します。プロテスタントは、カトリックの形式主義から離脱した教派です。カトリックでは「神父」の立会いの下結婚式を行いますが、プロテスタントでは牧師の立会いもとで誓約が行われます。「神父」には結婚していない独身の男性しかなれません。しかし、「牧師」には結婚していたり、こどもがいたり、女性であってもなることができます。
 また、結婚式は、牧師が聖書をもって赴けばどこでも結婚式を挙げられます。そのため、公園や海などの野外結婚式が多く行われています。教会で行う場合は、カトリックと違いバージンロードの色は「白」を使っています。
結婚式では、カトリックと違い十字架にキリスト像が付いていません。また、プロテスタントは、十字を切るという習慣が残っていない教会が多いです。結婚式では新郎がタキシード、新婦はウェディングドレスを着用します。
離婚に対しても考え方は違います。カトリックでは、離婚は「神との関係を裏切ること」と考えられていますが、プロテスタントではファミリーメダリオンがあるほど寛容です。ファミリーメダリオンとは、再婚家族の絆を深めるために作られた儀式です。このメダルで新しい家族の誕生を確認します。このように、カトリックでは離婚・再婚に対して厳しいですが、プロテスタントでは寛容なのです。
  最後に正教会について紹介します。正教会においての結婚とは、「婚配機密」といって、神の恵みによって一つとなるという機密です。結婚式は聖堂でしか挙げることができず、神父によって執り行なわれます。信者にとって結婚式は神秘であるため式の様子が写真や資料として外部に流出することは不穏当です。また、異教徒との結婚は認められず、信者同士の結婚でなければ教会で式を挙げることが出来ません。もし、教会で結婚式を挙げたい場合は宗教を変えないといけません。
 正教会の結婚式はイコン(聖像)とキャンドルが象徴的です。キャンドルは結婚式において重要な意味合いがあります。それは、古代ギリシャでは結婚式を行った教会から新居に移動する際には松明の火に導かれていたので、火には不運を遠ざける力と精神を清める力があると昔から伝えられていたからです。その名残として、現在でも結婚式をする際に新郎新婦にキャンドルを渡しています。
 また、火は結婚の証人としての機能も持っており、松明がたかれない=結婚は神聖ではないという意味があります。キャンドルには「神はこの世の光そのものであり、同時に神は新郎新婦のこれからの道のりを照らしてくださる」という意味があり結婚式の象徴となっています。

 
 イスラム教の結婚式

 イスラム教での婚姻は「結婚式後の生活に関して契約を結ぶ」ことを意味しています。そのため、婚姻において結婚式は必須と言えます。原則としてイスラム教徒同士の婚姻が定められていますが、イスラム教の男性に限っては、相手が異教徒でも婚姻が認められています。結婚式は宗教法であるイスラム法(シャリ―ア)に沿って行われ、主にサウジアラビアやイランで行われます。
また、イスラム教は、一夫多妻制が許可されており、1人の男性に対し4人の女性との婚姻が認められています。しかし、一夫多妻制を利用した結婚では、夫は妻たちに対する扶助や平等な愛を注ぐことが必要です。
イスラム教には、「キリスト教徒は恋に落ちて結婚するが、イスラム教徒は結婚してから恋に落ちる」ということわざがあります。これは、伝統的なイスラムの結婚は見合い結婚が多いということを表しています。子どもが成人に達する前に両親が結婚相手を探し、マフルという、男性が女性に贈る結婚契約金に関して、細かく取り決めを行います。花嫁の家族についての契約なども行われ、契約条件が一致すれば婚約が整い、結婚の準備が始まります。
結婚式当日、花嫁が初婚なら、処女の証である血の付いた布を示さなければなりません。これが示せない場合は、結婚条件に違反したとみなされ婚姻契約は破棄され、社会的に花嫁及びその家族の大変な不名誉とみなされます。イスラム教の結婚式は場所を指定しておらず、どこでも行えます。
次に、イスラム教の花嫁衣装について紹介します。イスラム教では、女性の肌や髪を見せることを禁じています。花嫁衣装もそれに配慮しており、白のウェディングドレスですが髪や全身を覆うことのできるスタイルになっています。
イスラム教の離婚は男性側が自由に決めることができ、離婚の仕方は実に簡単です。口頭で「私はあなたと離婚する」という離婚宣言をして、約3ヶ月の待婚期間(女性が妊娠していないかを確認する期間)が過ぎれば、それで離婚が成立します。しかし、イスラム教では離婚をすることは最も恥ずべきこととされています。

 
 仏教の結婚式

 仏教では、原則として一夫多妻制度を禁止にはしていません。それは、釈迦の教えは結婚生活に関するアドバイスなどは述べていますが、宗教的な規則は定めていないからです。そのため、一夫多妻制や乱婚などを禁止にしているわけではありません。しかし、国家が民法などで結婚制度を決定するので、仏教国(仏教徒が多い国)でも結婚制度の規定が存在します。
それぞれの宗教を別の言葉で表すと、キリスト教は「儀式」で、イスラム教は「契約」ですが、仏教は「概念」と言えます。
仏教の結婚式は、民族儀礼と宗教儀礼の区別がはっきりしていない場合が多いです。仏教では僧侶が結婚式を執り行いますが、僧侶ではなく村落の長が結婚式を執り行うこともあります。さらに、同じ仏教国であっても国によって民族的な伝統儀式として、独自の習慣やしきたりが存在していることが多いです。
また、仏教の結婚式では、水を使った儀式が多くみられます。仏教での水は浄化の象徴であるため、水を使って肉体と精神の浄化が行われます。仏教の教えに基づいて、日本で行われているのが仏前結婚式です。【日本の結婚式】で述べた「神前式」によく似ていますが、誰に誓うかという点で違うところがあります。神前式では神様に誓っていますが、仏前結婚式ではご先祖様や仏様に誓います。また、神前式は神社で行うのに対し、仏前結婚式はその宗派の寺院や自宅で行います。さらに、仏前結婚式では、僧侶が新郎新婦に数珠を渡す儀式、お経を挙げるなどの仏前結婚式独特の特徴があります。しかし、花嫁衣装は同じ白無垢であることや親族のみで行う点などは神前結婚式と変わりません。

 
 ユダヤ教の結婚式

 ユダヤ教では、一夫多妻制を禁止している律法はありません。そのため複数の妻を娶ることができますが、2人目3人目の妻を娶る際でも正式な婚姻申請が必要となります。
 ユダヤ教は正統派や保守派、革命派、再建派などさまざまな宗派があり、それぞれに結婚式のしきたりや伝統が異なります。しかし、本質は同じであり共通する部分も多くみられます。
 ユダヤ教の結婚式は、式の前に結婚の契約を交わす儀式があります。それは「ケトゥバ」と呼ばれる結婚契約書のことです。この儀式を終えて始めて結婚式が行われます。結婚式はシナゴークと呼ばれる会堂で行われています。
 ユダヤ教には結婚するときの珍しい習慣があります。それは「グラス割り」と言われるもので、花婿がグラスを勢いよく踏んで割る儀式のことです。グラスはあらかじめ綺麗な巾着袋に入れておき、グラスの破片は大切に保管されます。この儀式の由来は「邪悪な霊は騒音を嫌うことから、悪魔祓いの意味」「“形あるものが壊れるともとに戻れない=別れられないこと”を象徴する」「結婚後に不幸で破壊的な出来事が起こらないようあらかじめグラスを割る」など諸説あります。
 花嫁衣裳は、白かクリーム色のウェディングドレスを着て、長そでとハイネックのドレスと決められています。また、ベールで顔を隠すことは、花嫁のしとやかさや控えめさの象徴であるといわれています。他にも花婿は「キッパ」と呼ばれる、ボウルを逆さまにしたような帽子をかぶります。

 

宗教名

結婚とは

一夫多妻制

行う場所

重要なもの、儀式

キリスト教
(カトリック)

神の恵みを
人間に与える儀式

一夫多妻制許可

教会

十字架(キリスト像あり)

キリスト教
(プロテスタント)

牧師立会いの下で
誓約が交わされる行為

一夫多妻制許可

自由
(牧師立会いの下)

十字架(キリスト像なし)

キリスト教
(正教会)

婚配機密

一夫多妻制許可

教会

キャンドル

イスラム教

契約

一夫多妻制許可
(妻は4人以内)

自由

血の付いた布

仏教

概念

一夫多妻制許可

寺院、自宅

ユダヤ教

契約

一夫多妻制許可

シナゴーク

グラス割り

 
 
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