睡眠障害とは
何らかの原因で睡眠の障害を持った状態では、良い睡眠をとることができません。睡眠に関わる病気は総称して 「睡眠障害」と呼ばれます。
睡眠障害は、複数の原因が重なって発症している事例も多く、診断する場合は多くの要素を多角的にとらえることが必要です。
睡眠障害の危険性
睡眠障害というとピンと来ないかもしれませんが、 実は5人に1人は睡眠トラブルを抱えているといわれています。そんな睡眠障害を発症してしまうと日常生活に支障をきたすことが多くなります。例えば日中の眠気やだるさ、集中力の低下などは、重大な事故へと発展する危険性をはらんでいます。さらに、長期間発症していると生活習慣病やうつ病の原因となります。
このように、睡眠障害は 様々な悪影響を及ぼす病気であり、発見した場合は速やかに適切な対処をする必要があります。
具体的な症状
睡眠障害には他人から指摘されてはじめて気付く症状と、以下のような自分で気付ける症状とがあります。
- 不眠
- 過眠
- 睡眠時の異常感覚
- 睡眠・覚醒リズムの問題
不眠症
不眠症には次のような症状が確認されています。
- 一時間以上寝付けない(入眠障害)
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- 入眠までに30分以上かかり、本人が苦痛と感じる
- 身体的、精神的な疾患によって発症することが多い
- 夜中に二回以上目が覚める(途中覚醒)
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- 再入眠が困難である
- 夜中の覚醒回数が著しく多い
- 日中に強い眠気を感じる
- 二時間以上早く目が覚める(早朝覚醒)
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- 二時間以上早い覚醒
- 再入眠が困難
- 加齢により生活サイクルは早寝早起きに変化するため、高齢者に多い症状である
- よく眠れたという実感がない(熟眠障害)
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- 適切な睡眠時間を確保しているにもかかわらず、主観的に満足できるような眠りを得られていない状態
- 翌日の社会生活に支障があるほどに眠れない
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- 日中に眠気や倦怠感がある
- 仕事中や運転中のミス
睡眠恐怖
不眠症が続くと不安や恐怖が生じ、 睡眠恐怖に陥る場合があります。睡眠恐怖とは
- 眠れない
- 不安や恐怖を感じる
- 睡眠を強く意識する
- 緊張感を感じる
というサイクルを繰り返し、抜け出せなくなることを指します。睡眠恐怖に陥ると、ベットという存在が 「休む場所」から 「暗闇と恐怖を与える場所」に変化してしまうのです。解決方法としては無理に布団に入ろうとはせず、眠気を感じたときに布団に入ることを意識することです。
不眠症の原因
不眠症の原因である5つの「P」によって具体的な対処法が変わります。
分類 | 原因 |
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1. 身体的要因
(Physical) |
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2. 生理学的要因
(Physiologic) |
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3. 心理学的要因
(Psychological) |
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4. 精神医学的要因
(Psychiatric) |
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5. 薬学的要因
(Pharmacologic) |
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睡眠時無呼吸症候群
一時間に15回以上、なかには60回近く呼吸が止まる病気で、一時間に60回も無呼吸状態、一分ごとに10~20秒も 首を絞められた状態が続きます。
- 肥満している人に多く確認されている症状
- →脂肪が気道を狭め、圧迫するのが大きな原因
- 日本人の場合は痩せていても発症する可能性がある
- →アジア人は顔が平たく、下あごが奥まり、気道がもともと狭いことが原因
- 睡眠時無呼吸症候群が発症すると次のような症状が確認される
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- 日中にマイクロスリープが頻繁に起きる
- 肥満、高血圧、糖尿病などの生活習慣病になる
- 血液の粘化による心筋梗塞、脳梗塞
- 自律神経、ホルモンバランス、免疫機能の不正常化
重症の場合、40%が8年以内に 死亡してしまいます。
うつ病
うつ病が不眠症を引き起こすことがあります。しかし逆に、 不眠症によってうつ病になる可能性もあるのです。眠れないことによるストレスだけでなく、 心が休まることもなくなることが原因になる場合があります。うつ病には、精神的疾患と身体的疾患の2つの症状が見られます。もし夜に眠れず、以下のような症状がある場合にはうつ病である可能性も否定できません。
精神的疾患 | 身体的疾患 |
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憂鬱感、悲壮感、空虚感などの気分の落ち込み | 食欲の低下 |
興味の減衰 | 消化器症状 |
喜びの減少 | 身体疼痛 |
また不眠症の症状(入眠障害、途中覚醒、早朝覚醒、熟眠障害)のうち、
入眠障害のみがうつ病と関係があることが分かっているのです。
これは、入眠障害のみが
強いストレスを感じるといわれています。