間違った知識の恐ろしさ
間違った知識には注意せよ。それは無知よりも危険である。By George Bernard Shaw
引用元： kotodama 心に残る名言集～言霊
上の言葉はアイルランドの劇作家であるバーナード・ショーの言葉ですが、睡眠にも同じことが言えます。誰しもが必ず行う睡眠という行為。しかし、間違った知識を真実だと信じ込んでいる人は意外と多いものです。何が正しく、何が間違っているのか。詳しく見てみましょう。
90分の倍数の睡眠時間が最も適切？
睡眠時間が90分の倍数が適切だといわれているのは、スリープサイクル（睡眠周期）が根拠になっています。確かに、以前は睡眠の周期は90分だといわれていました。
しかし、実際のスリープサイクルは 90～120分と個人によって幅があることが判明しています。そのため、90分の倍数になる時間だけ眠るということにそこまでとらわれる必要はありません。重要なのは自分で試行錯誤を繰り返し、それぞれに合った睡眠時間を見つけることなのです。
寝不足は週末の寝だめで解決できる？
睡眠が不足すると、人は睡眠不足に陥ります。医学的には 「睡眠負債」と表現するのですが、それは睡眠不足というマイナス要因が積み重なって深刻な状況に陥っていく、という意味を含みます。睡眠負債を取り返すにはより多くの睡眠を必要とするため、週末の寝だめ程度の睡眠では解決することができません。
もうひとつ面白い事実を紹介しましょう。実は、週末の睡眠時間が極端に長いと平日の睡眠の質が悪化します。つまり、寝だめという行為は睡眠不足の解消につながらないだけでなく、日々の睡眠の質に悪影響を及ぼすのです。
午後の眠気は、消化にエネルギーを使うことが原因？
「昼食の後に眠くなるのは、消化器官への血流が増加して脳への血流が減るから」と聞いたことがあるかもしれません。しかし、いかなる状況下でも脳への血流は第一に確保されるため、眠気は血流に起因しません。厳密にいうと午後の眠気は 「満腹感からの意欲の低下による倦怠感」であり、眠気とは別物なのです。
まず第一に、朝の起床時間を遅らせると眠くならないのであれば、それは 睡眠負債が原因でしょう。
羊を数えるとよく眠れる？
寝るときに羊を数えるというのは、英語で「Sheep Sheep Sheep……」と数えるという手法がもとになっています。諸説はありますが、 Sheepが Sleepと発音が似ているからだとか、 「シープ」という響きが眠気を誘う効果があるから、などといわれています。しかし、 日本語で「ヒツジガイッピキ、ヒツジガニヒキ」と言っても、ちっとも眠くなりません。英語では発音しやすくても、肝心の日本語がそうでなくては意味がありませんね。
起床には、スヌーズ機能が効果的？
朝、起床するときにはスヌーズ機能のついた目覚まし時計やアラームアプリが必須だという人も多いかもしれません。しかし、この機能が厄介な状況を引き起こすのです。
人間は日常的に同じ行動を繰り返すとそれを体が覚え、意識しなくてもその行動をとるようになります。例えば、毎日スヌーズボタンを三回押してから起きているとしましょう。すると脳はそれを覚え、 スヌーズボタンを三度押すまで脳が覚醒しないようになります。これでは、スヌーズ機能で徐々に眠りから覚めるという効果を期待することはできません。
徹夜には、エナジードリンク？
エナジードリンクには大量のカフェインが含まれているため、確かに摂取直後には、高い覚醒効果と集中力の増加が見られます。しかしそれは 眠気がなくなったわけではなく、脳を無理やり動かしているだけにすぎません。数時間経つと、すぐに強い眠気に襲われます。そして、集中力もエナジードリンクを飲む前より下がってしまうのです。さらに、そのあとの睡眠の質も圧倒的に低下してしまうことがわかっています。睡眠の質という面で徹夜はよくありませんが、カフェインを摂取して徹夜するのはさらに睡眠の質を下げることにつながり、翌日の活動に多大な悪影響を及ぼすのです。
