体験談
私たちと同じ若い年代の人の心不全になった体験談を聞くことにしましたが、実際に病院にかかっている方にはお話を聞くことを躊躇われたので、病院の先生などにお話を伺いました。
中学3年生の男性
【メンバーOの母親の経験談】
中学3年生の合唱コンクールの日。前日までみんなで一生懸命に合唱の練習に打ち込み、いよいよだと気合を入れて登校した直後、一人の友人が、〇〇くんの自宅の前に救急車が停まっていたと話をした。「〇〇くんに何かあったんじゃないの?まさかね。」と、皆冗談交じりに話をしながら彼を待っていた。
しかし、彼がいつものように登校してくることは二度となかった。
運動会で一緒にフォークダンスを踊った彼は、くせっ毛をいつも気にする、シャイで控えめ、でもとても優しい男の子だった。みんなで彼の分も一生懸命に合唱で歌った。お葬式にも学級のみんなで参列した。葬儀中、お母さんが棺桶にしがみつき、泣きじゃくる姿が、今でも忘れられないという。
この話を聞き、僕は彼は心臓突然死だったのではないかと思った。
自分の大切な家族や友人、そして隣人や見知らぬ人が、僕たちの目の前で倒れたとき、「命」を救い守るためにできることは、救急蘇生法ではないかと僕は思う。僕たち中学生にとって、心肺蘇生法は勇気がいるし、ためらうことだと思う。
30歳前半の女性
【都会に憧れて上京された30歳前半のお化粧とおしゃれが大好きな女性のお話】
昨年2月、お化粧をしても目の下のたるみ、クマがとれません。足もむくんできました。
お酒飲み過ぎ?お菓子食べ過ぎ?風邪で行ったことがある竹谷先生を受診します。
先生は診察(問診、視診、触診、聴診、打診、)をして、レントゲンと心電図をとって、心不全に気が付きました。
大きな病院のM先生たちにお願いして精査を進めました。その女性は重症の心不全でした。
その後、今年に入り左室補助循環心臓、右室補助循環心臓を大学病院で装着し、現在埋め込み型左室補助循環心臓でリハビリ中です。心臓移植を待っています。
5月彼女のお父さんはぼく(竹谷先生)のところにお礼に来られました。その時、おっしゃたのは「埋め込み型補助循環心臓で自宅にもどれるでしょうか?幸せになるでしょうか?」です。
「僕たち心不全地域医療連携の会のメンバーは全力でサポートします。訪問看護も、薬剤師もいます。心配しないでください。」と伝えました。
僕たち(多職種)は彼女が帰ってくることを待っています。
是非、体調がよくないと思うときは医師に相談してください。
インタビューにご協力いただいた竹谷先生の患者さんの実話
一人の患者さんに、地域のたくさんの医療従事者が関わり、命を救ったということにとても感動した。
複数の医療機関で「仲間・チーム」で患者さんを支える仕組みがあることはとても心強いと思う。いつ、だれがなってもおかしくない心不全。体調が良くないときは、医師に相談をするのが良いのだということも改めて実感した。この女性が1日も早く元気に日常生活を取り戻せる日を願う。