ProteinSimple
ProteinSimpleにおいてチームメンバーが撮影
ProteinSimpleにおいてチームメンバーが撮影
2020年11月に、たんぱく質の解析機器を取り扱うProteinSimple(プロテインシンプル)を取材しました。
ProteinSimpleさんは主に研究所や製薬会社などバイオ医薬品に関するところに機器を提供している会社です。僕たちはそんなバイオ医療の最前線に立つProteinSimpleさんに
「バイオ産業市場」、「個別化医療」、「バイオ医薬品」、「ゲノム編集とデザイナーベビー」についてインタビューを行いました。
インタビューでは、ヤマシタさんとシオカワさんのお二人が質問に答えてくださいました。
ProteinSimpleにおいてチームメンバーが撮影
Q1 現在のバイオ産業の市場はどのようになっているのでしょうか?
全体的には20~30兆円ほどでしょうか。その中でもバイオ医薬品が多くを占めていて、その中でも近年では免疫の研究が多く行われており、抗体医薬品などの
市場が急速に拡大しています。今は新型コロナウイルスが世界中では流行していますが、その治療薬開発でも抗体医薬品が活躍しています。
また、今後は個人の遺伝子に合わせた医薬品が増えていくと思いますので、費用が高くなりさらに市場規模は拡大していくと考えられています。
Q2 今後の個別化医療はどのようになっていくと考えられますか?
今後は個人レベルの医療がさらに広まると考えています。アメリカではそのような治療を既にやっているところがあり、日本でも少しずつではありますが広まりつつあります。
しかし、個別化医療をすすめていくにあたって、ゲノム解析の情報なども重要な個人情報となりますので、情報管理を徹底しなければなりません。アメリカではゲノム解析の際、
いくつものの厳重な審査を通らないとゲノム解析をすることができないので、かなりのセキュリティーだと思います。
Q3 今後のバイオ医薬品はどのようになっていくと考えられますか?
バイオ医薬品は、アメリカでは条件付きで承認されるケースもあり、医薬品の承認がスピーディーに行われています。このようにバイオ医薬品の承認が続けば、バイオ医薬品の
需要はさらに拡大すると考えています。
Q4 ゲノム編集についてご意見をお聞かせください
ゲノム編集は必要だと思います。遺伝子変異で、普通の生活を送れないという人のためにはなくてはならない技術だと思います。しかし、日本でもアメリカでも
遺伝子組み換えや、ゲノム編集されたものに対して抵抗感を抱く人も多数います。それに対して、研究者は遺伝子異常がある人のために研究をしています。
研究者の中には、ゲノム編集は数千年数万年かかるような遺伝子の変化を1年ほどに短縮するだけだから、問題ないという意見を持っている人もいます。
難しい問題ですが、デザイナーベビーは倫理的によくないのはもちろん、貧しい人とお金持ちの人で格差が生まれてしまいます。赤ちゃんの遺伝子を出産前に調べ
遺伝子変異をなくすというメリットもありますが、とても判断が難しい問題です。
現時点ではCRISPR/Cas9などのゲノム編集技術は整っていますが、いまだに人間は人工的にタンパク質を効率よく作ることができていません。
なので、ゲノム編集技術とタンパク質合成技術がそろえば、バイオ医療は飛躍的に向上すると思います。
Q5 バイオ医療の今後についてご意見をお聞かせください
ゲノム編集でも、それを研究する人、それを使う人でも差があります。例えばノーベルは生活を豊かにするためにダイナマイトを開発しましたが、
人々は戦争などに使ってしまったということもあります。どんなにいい研究があってもそれを使うのは患者ですから、この差が縮まっていかないと
ゲノム編集は使われないと考えられます。さらに、政治家の協力も必要不可欠だと思います。バイオ医療によって医療費は高騰していきますし、
政治家がそこにお金をかけないと、貧しい人はバイオ医療を受けられず、お金持ちの人だけ受けることができるという格差が生まれてしまいます。
なので、バイオ医療の発展には研究だけでなく、様々な人の協力が必要だと思います。
バイオ医療が今後規模が拡大していくことに間違いはないのですが、バイオ医療の成長はいったん停滞すると思います。
バイオ医療を進めていく中で倫理的問題などで今は手詰まりのように感じます。ただ、バイオ医療は必ず必要です。たとえば、貧しい国々の人たちは
四肢や臓器を売ってしまっている人もいますし、取られてしまうことさえもあります。現段階では臓器を人工的に作るという技術は今だ確立されていません。
そのように、「ただ臓器を提供するために生まれた人間」を減らすために、バイオ医療・再生医療を発展させなければならないと思います。
バイオ医療の最前線で働く方にインタビューをして、バイオ医療の現状をたくさん学ばせていただきました!
バイオ医療が普及されることはとても難しいことだと痛感しました。それと同時にバイオ医療は人類に必要不可欠だということが
伝わってきました。