取材>校内アンケート

アンケートが映すバイオ医療のイメージ

僕たちは同世代のバイオ医療に対するイメージを聞くため、芝浦工業大学柏中学高等学校の生徒を対象にアンケートを行いました。 アンケートは中学3年生、高校1、2年生の3学年で行い、404人の回答を得ました。(数値は四捨五入しているので多少誤差があります。)

校内アンケート

ゲノム編集についての認知度調査を行ったところ「詳しく知っている(5% 20人)」、「詳しくないが知っている(47% 188人)」、「聞いたことがある(32% 132人)」、「知らない(17% 68人)」 という結果になりました。ゲノム編集という言葉を知っている人が83%と若い世代にもかなり浸透しているp>ことがわかります。

再生医療については「詳しく知っている(3% 12人)」、「詳しくはないが知っている(28% 114人)」、 「聞いたことがある(47% 190人)」、「知らない(22% 88人)」とゲノム編集より多少少ないものの、多くの生徒が知っていました。

バイオ医薬品については「詳しく知っている(2% 10人)」、「詳しくはないが知っている(20% 80人)」、 「聞いたことがある(39% 159人)」、「知らない(38% 155人)」と前の二つに比べあまり認知度が高くない印象です。

ゲノム編集の医療分野での使用については「賛成(23% 91人)」「どちらかというと賛成(46% 187人)」、 「どちらかというと反対(15% 190人)」、「反対(4% 16人)」、 知らない(12% 48人)」と賛成よりの意見が多いです。ゲノム編集の分野でノーベル賞をとり、世の中の注目が集まっている影響もあると思います。

ゲノム編集の医療分野での使用に賛成な理由を聞いたところ、「治療用細胞を使った医療の実現(22% 61人)」、「遺伝子病など難病の根本治療(66% 184人)」、「新しい薬の開発(9% 26人)」と遺伝子病の根本治療への期待が特に大きいことがわかりました。

ゲノム編集の医療分野での使用に反対な理由を聞いたところ、「安全性への不安(42% 32人)」、「倫理的問題(56% 43人)」と安全性と倫理の問題の二つが不安要素のほとんどを占めていることがわかりました。

デザイナーベイビーについて聞いたところ、「賛成(7% 30人)」、「どちらかというと賛成(12% 50人)」、「どちらかというと反対(35% 143人)」、「反対(31% 124人)」、「知らない(14% 57人)」と現時点ではデザイナーベイビーに不安を感じている人が多いことがわかりました。

デザイナーベイビーに賛成な理由を聞いたところ、「病気の予防に役立てる(50% 40人)」、「社会貢献(10% 8人)」、「より優れた能力を持てる(33% 26人)と社会貢献や優れた能力など医学以外の意見もありました。

デザイナーベイビーに反対な理由を聞いたところ、「安全性への不安(13% 36人)」、「倫理問題(40% 107人)」、「子供自身が選択できない(34% 90人)」とゲノム編集同様、安全性と倫理問題への不安が大きく、倫理問題では特に子供の権利に関する回答が多くありました。

iPS細胞の医学的を聞いたところ、「賛成(40% 160人)」、「どちらかというと賛成(39% 158人)」、「どちらかというと反対(5% 22人)」、「反対(1% 5人)」、「知らない(15% 59人)」と賛成寄りの意見が全体の79%とほとんどの学生はiPS細胞に期待を寄せていることがわかります。

iPS細胞に賛成な理由を聞いたところ、「薬を作ることに役立てる(19% 61人)」、「臓器の再生が可能になる(63% 199人)」、「体の拒絶反応が起きにくい 副作用が少ない(16% 50人)」とiPS細胞を使用した再生医療への期待が特に多い結果となりました。

iPS細胞に反対な理由を聞いたところ、「安全性への不安(74% 20人)」、「倫理問題(22% 6人)」とほかの質問と同じように、安全性や倫理問題に対する不安が大きいようです。

アンケート考察

このアンケートでまずわかったのはバイオ医療分野の認知度の高さです。どの質問でも認知度は過半数を上回っており、バイオ医薬品を除けば認知度は80%を超えています。
次にバイオ医療に不安を感じる要因がどの分野でも似ていたことです。どの反対意見にも共通していた「安全性」「倫理問題」はバイオ医療を進めていくうえで特に重要な論点になりそうです。
また賛成意見で多かったのは臓器の再生や難病の治療など病気やけがなどの根本治療についてです。これはこれまでの医療との大きな違いで、バイオ医療の目指すところについて改めて考えさせられました。

学生へのアンケートで病気の根本治療や再生医療への期待の声が多くあげられましたが、安全性や倫理問題などの不安も根強いことがわかりました。
安全性や倫理問題の議論が進めば、イメージも変わっていくかもしれません!

バイオ医療のイメージがつかめたね!
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス

この作品はクリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。