チーズ
チーズって何?
チーズは発酵食品のなかでもかなりなじみ深いものだと思います。チーズとは国際酪農連盟によると、「乳、クリーム、脱脂粉乳またはバターミルク、このいくつかあるいはすべてを混合凝固させた後排水させて得られる新鮮なまたは熟成した液状でない製品をいう」とあります。
チーズは6500年以上前の中央アジアが起源とされ、ローマ帝政時代には重要な産業になりました。19世紀半ばには有名なチーズはほとんど出現していました。
大雑把にわけるとチーズは二種類!
スーパーやデパートの地下でチーズを買うとき裏の表記をみると“ナチュラルチーズ”か“プロセスチーズ”と書かれています。「これはなんだろう? チーズには変わりないからなんでもいいや!」と思って買うのは大間違い。しっかりとした分類があるのです。一体何が違うのでしょうか?
ナチュラルチーズ
ナチュラルチーズとは、乳を乳酸菌発酵、または凝乳酵素によって凝固させて乳清を除去して熟成させたものです。世界には800種類以上のチーズがあり、自然のままのチーズです。製造法が多様なため、様々な個性ある風味や味わいが楽しめます。
プロセスチーズ
プロセスチーズは20世紀の初めに出現し、ナチュラルチーズを粉砕して加熱溶解し、乳化した後、密封包装したり乾燥させたりしたものです。ナチュラルチーズに比べて保存が効きます。なるほど。つまり簡単に言うとチーズは純血種、プロセスチーズは雑種ということですね。だからと言ってプロセスチーズが劣っているというわけではなく、皆さんがよく食べる中ではとろけるチーズやさけるチーズなどもプロセスチーズの一種なのですよ!
チーズの製法
スターターとよばれる発酵を始めるために加える乳酸菌の固まりを原料の乳などに加えて乳酸発酵をさせます。そのあと、凝乳酵素(=レンネット) をそれに加えるとタンパク質のカゼインが凝固します。そこから乳清を取り除いて圧搾熟成をするとチーズの完成です。凝乳酵素のレンネットは、昔は子ウシの第4胃からとられていました。しかし、今は希少で高価なものとなっているので、ほとんどが微生物をレンネットとしてチーズがつくられています。
ここに書いた作り方は大体共通していますが、チーズにはナチュラルチーズだけでも400種類以上あると言われていて、種類によって作り方なども少しずつ異なります。
ここでそれを完璧に紹介することはできないので7つのタイプにわけて紹介したいと思います。
沢山ある!チーズのタイプ
ナチュラルチーズは大きく分けて7つのタイプに分類ができます。それぞれで味や見た目にも特徴があり、作り方も異なるのです。フレッシュタイプ
熟成させないタイプのチーズです。ヨーグルトと似ていますが、ヨーグルトから乳清(ホエー)と呼ばれる乳分が取り除かれた透明な液を漉した物がこのチーズです。他のナチュラルチーズに比べ、水分が多いです。
このフレッシュチーズに牛乳やクリームなどが混ぜられるとクリームチーズになります。
代表的なチーズ
カッテージ、モッツァレラ、リコッタ、ブルソー、フロマージュブランなど
白カビタイプ
白カビで表面が覆われているチーズです。凝乳酵素(レンネット)でミルクを固め、塩に浮かべて表面をしめ、微生物を殺した後、白カビを吹き付けて熟成させ味わいを深めます。ミルクに初めに白カビを混ぜるものもあります。マイルドでクリーミーなものが多く、クセもほとんどないので食べやすいチーズです。
※白カビはタンパク質をアミノ酸に変える働きがあります。
代表的なチーズ
カマンベール、クロミエ、カプリスデュー、バラカなど
青カビタイプ
別名をブルーチーズと言い、白カビタイプと同様、ミルクに青カビを混ぜたりするものと型にチーズを詰めるときに青カビを植え付けて熟成させるものがあります。優しい味、ピリッとした味など幅広い種類のものがありますが、塩味が他のチーズに比べて多く、独特な風味があります。
代表的なチーズ
ブルー、ゴルゴンゾーラ、スティルトン、ロックフォールなど
ウォッシュタイプ
チーズを熟成させるとき、チーズの表面に塩水を吹き付けたり、土地によってはワインやブランデーなど色々なものを吹き付けたりして作られるチーズです。チーズの中ではやわらかめで、クリーミーで濃厚なチーズです。熟成するにつれて茶褐色になります。代表的なチーズ:エポワス、モンドール、マンステールなど
シェーブルタイプ
山羊の乳から出来ているチーズの事をまとめてシェーブルチーズと呼びます。熟成があまり進んでいない物は酸味が多く、熟成するにつれてコクが多く、濃厚な味になります。チーズの中では乾燥したチーズです。代表するチーズ:サントモール、ヴァランセなど
セミハードタイプ
もっともチーズらしいチーズです。ミルクを固めたカードを細かく切った後に水分を切るために型に入れ、圧力をかけます。そして熟成させてつくられます。代表するチーズ:ゴーダ、ミモレット、ラクレットなど
ハードタイプ
名前の通り硬いタイプのチーズです。水分が少ないので長い間保存がききます。セミハードチーズよりもっと強く圧力をかけて水分をぬきます。熟成期間は長いのでその間に深みのある味わいに変化します。
代表的なチーズ:チェダー、パルミジャーノ・レジャーノ、エダム
エネルギー源のチーズ
チーズの成分はなんでしょう? なんとチーズは20%〜30%もタンパク質と脂肪で占められています。これは原料の乳が凝乳酵素によってタンパク質や脂肪を濃縮してしまうからです。
しかもこのタンパク質と脂肪は発酵によって消化したり吸収したりしやすい形に変えられます。
だからカロリーはもちろんエネルギーなどが沢山つまっているので私達の体のエネルギー源となってくれるのです。
栄養源でもあるチーズ
チーズはエネルギーになるだけではなく、栄養源としても活躍してくれます。チーズは発酵や熟成をすることによって様々な栄養を含みます。
例えば、乳酸菌の分泌作用でつくられるペプチドと呼ばれるアミノ酸の集合体は血液中のコレステロールを下げてくれます。そしてビフィズス菌などの腸内細菌を安定して生息させてくれます。
この腸内細菌達が安定して私達のお腹の中にいることで免疫力をあげてくれたり、有害な菌を駆除してくれたりするのです。
チーズに含まれている栄養源はまだ沢山あります。ビタミンAだけでも牛乳の10〜20倍ふくまれており、その他にもビタミンB、カルシウム、リンなどの成分もまた驚くほど含まれています。チーズってすごいですね。