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漬物

漬物って何?

 酒粕、味噌、糠(ぬか)、麹、溜、からしなどの漬床を使って、菜類、山菜類、きのこ類、魚類、肉類、海藻類などの様々なものを発酵させたり、味をなじませたりしたものの事を一般的には漬物と言います。しかし漬物の素材や漬床、微生物の働きなどに色々な種類があるため、できる漬物にも色々な種類があり漬物の定義は難しいものとなっています。

昔の人間の知識から生まれた漬物

 寒い地方には冬になると野菜が乏しくなってしまいます。「どうしたら野菜を冬まで蓄えることができるだろうか?」うーん。と古代の人が考えた結果がこの漬物。だから漬物は寒い地方に行くとおいしく有名なものなどが多いのです。そして地方によって様々な種類の漬物があり、それぞれに地方色が表れています。
その中でも日本の漬物の種類の多さと漬床の種類の多さは他の国と比べると自慢ができるほど多いのです。

漬物の分類と製法

 漬物は風味が何かによって三つに分類されます。

@ 素材の風味を中心とした漬物

例)一夜漬、菜漬

 大半の漬物は素材を漬け込んで、微生物が作った酸やアルコールなどでじっくり風味をつけられたものの事ですが、@の一夜漬などは微生物が関与して出来たものではありません。

また、このタイプの漬物は色や光沢などの見た目の美しさによって食欲を増加させる目的で作られています。

これは素材を冷やして調味料液に浸して漬けた後に冷蔵ボックスに入れられ出荷されるという製造方法です。

しかし、食塩を少ししか含まないので賞味期限が短く常温ですぐに味が落ちたりしてしまうので注意が必要な漬物です。

A 発酵によって素材の味が引き立つ漬物

例)たくあん、すぐき

 いわゆる漬物らしい漬物の事で、微生物の発酵が関わるので日々味が熟成することによって変化していくという特徴があります。
このタイプの漬物の代表はたくあんです。
たくあんは、大根と米糠の糖分を耐塩性のバクテリアや酵母菌が発酵することによって出来た乳酸、酢酸、アルコールなどの成分が反応して酢酸エチルと呼ばれる果物の香りに含まれている成分を作りだします。

そのためにあの甘酸っぱいようなたくあんの香りがするのです。

B 調味料の味で引き立つ漬物

例)福神漬、甘酢ラッキョウ

 野菜などの素材に食塩を散布したり塩蔵したりした後、塩抜きされ、調味料に漬け込まれます。
調味料だけでなく、酒粕などでも味付けされ、素材にはない味や風味をつけることが出来ます。

日本の漬物の代表は糠漬!

 日本の代表的な漬物の糠みそ漬。カブやきゅうりなどの素材を、お米を漂白した後に出る糠みそに漬け込む事によって発酵させる食品です。これは日本にしかない特有の漬物で「どぶ漬」とも呼ばれています。

糠漬はすごい?

 糠漬けの糠にはたった1グラムなのに日本の人口よりもさらに多い何億というものすごい数の酵母菌や乳酸菌などの菌が生活をしています。

 また、この糠みその原料の米糠には炭水化物、タンパク質、資質、無機類、ビタミン類などの乳酸菌や酵母菌の必要とする栄養源が多く含まれているのでとても発酵しやすい環境なのです。

そして糠漬には昔の日本人の知恵がたくさん詰まっています。
一つは上の製造方法でも述べたように素材にはない風味や味を引き出してしまうことです
。そして二つ目は糠に存在している栄養(その中でも特に無機質やビタミン群)を漬物の中に移動させ、さらに発酵によって新しいビタミンが漬物の中に吸収されるのでとても栄養の多い食べ物になります。

そしてなんといってもすごいのは糠みそは何度も繰り返し発酵する事ができる事。だから
うまく管理をして使えば毎日食べ続ける事ができます。

 このような知恵が昔の質素な日本の食生活を助けていたのですね。

糠は混ぜるのが良い?

 糠はかきまぜろとはよく言われてきました。これにはしっかりと根拠があり、混ぜることによって空気(酸素)を沢山曲急して乳酸菌の増殖を助けるとともに酸素不足になると増殖し、いやなにおいを発生させる酪酸菌の発生を抑えるためなのです。