もっと詳しく! DNA複製
DNAの複製を詳しく見てみましょう。DNAが複製されるまでのプロセスは複雑で、ただ塩基を対応するように並べてDNAをつくる というわけにはいきません。それでは、どのようにDNAは複製されるのでしょう?
上の図を見てください。DNAは「半保存的複製」とよばれる方法で複製しますが、DNAがほどける部分を「複製フォーク」といいます。 ここでは、複製フォークは右に進む、すなわち右に向かってDNAがほどけていくとします。2本の鎖にはそれぞれ名前があり、複製フォーク側に 5'末端があるものを「リーディング鎖」、3'末端があるものを「ラギング鎖」といいます。そして、DNA複製の過程は2本の鎖で大きく異なります。
DNAの複製はDNAポリメラーゼⅢと呼ばれるタンパク質によって行われます。DNAポリメラーゼは「プライマー」と呼ばれる小さいRNAの断片を基準にヌクレオチドを 正しい順番で並べる役割があります。ここで重要なのが、このDNAポリメラーゼは5'末端から3'末端の方向にしか複製が進められないという 特徴を持っているということです。この特徴がDNA複製の方法に差異を生んでいるのです。
リーディング鎖はプライマーを設置した後、上の図のように単純に作っていくことができます。しかし、ラギング鎖は複製フォークの進行方向とは逆向きに作っていくため、 リーディング鎖のような方法をとるとプライマーと複製フォークの間にスペースができてしまいます。 そこで、多くのプライマーを用意しDNA鎖の断片を作るという方法がとられます。 こうすることで、一連の複製自体は右向きに進行させることができます。この時の短いDNA鎖のことを「岡崎フラグメント」といいます。
DNA複製の仕上げをします。まず、「DNAポリメラーゼⅠ」でプライマー除去しDNAに置き換えます。しかしこれだけでは DNAとDNAの間にはまだ隙間があります。この隙間を「DNAリガーゼ」でつなぎ合わせます。これでDNAの複製は完了です!