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バイオ医薬品のはたらき

バイオ医薬品はどのようにして体に作用しているのでしょうか? バイオ医薬品には体の中でつくられるタンパク質を補給するものや、 病気を引き起こす異物の動きを抑える物があります。では、まずは「たんぱく質を補う」 バイオ医薬品を見ていきましょう。

足りないたんぱく質を補う

ヒトの体内では健康を保つために様々なタンパク質が働いています。このタンパク質は特に生理活性タンパク質を呼ばれ、 これらの不足は糖尿病や貧血などの病気につながります。そこでタンパク質を補給するために、遺伝子組み換えなどのバイオ技術を用いて 人工的にタンパク質をつくりそれを薬にしたのがバイオ医薬品の始まりです。この療法を「補充療法」といいます。 これまでのところタンパク質を補う働きをもつ低分子医薬品はあまり発表されておらず、バイオ医薬品が重要視されています。

病気を引き起こす異物の動きを抑える

バイオ医薬品の中には私たちの免疫システムを利用したものもあります。 その免疫システムのなかでも「抗体」という物質を利用することが多く、「抗体医薬品」の開発も進められています。 抗体というのは抗体とは異物と結合することで異物の働きの邪魔をする分子のことで、私たちの免疫システムで大きな役割を果たしています。

抗体を利用した抗体医薬品は抗体の異物と結合するという働きを利用しているため、病原菌やがんなどをピンポイントで治療できます。 そのため高い治療効率と副作用の減少が期待されています。しかし製造設備不足や莫大な予算など課題もあります。

  • タンパク質を補う方法を「補充療法」という。
  • 抗体医薬品は人の免疫機能を利用したバイオ医薬品。

参考文献 書籍

  • マンガでわかるゲノム医学
    (水島-菅野純子 著 羊土社・2018年 8月5日)
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