海水淡水化完遂計画

沖縄県海水淡水化センター

海水淡水化センター

私達は、沖縄県那覇市にある「海水淡水化センター」に取材に行ってきました!
このページでは、実際に海水淡水化センターに行ってわかったことなどをまとめています。取材の内容について、いくつかの項目に分けて説明します!

目次

  1. 沖縄県海水淡水化センターについて
    • 海水淡水化センター建設の背景
    • 海水淡水化センターの概要
  2. 沖縄県海水淡水化センターの海水淡水化の仕組み
  3. 濃縮水の排水問題
  4. 最後に
  5. 参考文献

沖縄県海水淡水化センターについて

ここでは今回取材に行かせていただいた沖縄県海水淡水化センターについて説明します!

  • 海水淡水化センター建設の背景
  • 沖縄本島では、人口の増加や観光産業の発展によって水の需要が増えていました。それに伴い、ダムの開発などを各地で行いましたが、それでも水の供給が追いつかず、水不足に悩まされていました。
    そこで、沖縄県企業局は海水淡水化センターを建設、平成9年から稼働を開始しました。それにより、天候や季節に関係なく海水から淡水を得ることができるようになりました。

  • 海水淡水化センターの概要
  • 海水淡水化センターでは、1日あたり約4万㎥の淡水をつくることができます。施設でできあがった淡水は、まず北谷浄水場の浄水池へと送られます。浄水池では、浄水場で処理した水とブレンドし、よりおいしい飲み水に適した水となって、各地に水道水として供給されます。

    https://www.eb.pref.okinawa.jp/water/73/79より引用

    上の文章のように、海水淡水化センターでできた淡水は飲料水として使われています。北谷浄水場の水とブレンドされた後、北谷町、沖縄市、北中城村、中城村、宜野湾市、浦添市、那覇市の7つの市町村に供給されています。

    海水淡水化センターの横には北谷浄水所があります。

沖縄県海水淡水化センターの海水淡水化の仕組み

ここでは、沖縄県海水淡水化センターが行っている海水淡水化の仕組みについて説明します!
沖縄県海水淡水化センターでは、浸透圧法を採用しています。浸透圧法とは、簡単に言うと海水に圧をかけて、水分子のみが通過できる「浸透膜」を通すことで、海水から真水を取り出すという方法です。
図にするとこのような仕組みです↓

沖縄県海水淡水化センターでは、右上の写真のように浸透膜を筒状にして活用しています。取材を行った際、職員の方はこれを浸透膜エレメントと呼んでいました。

内部の構造はこのようになっています。青と白の矢印が水が流れる向きを示しています。
左側から海水に圧力をかけて浸透膜エレメントに流すと、浸透膜エレメント中央の部分に淡水が流れ込む仕組みになっています。

下の写真のように、浸透膜エレメントをたくさん繋げて海水淡水化を行っています。少しわかりにくいですが、黄土色の筒状のものが浸透膜エレメントです。一列あたり3本の浸透膜エレメントが使われており、1ユニット合計で378本あります。センターにはこれが8ユニットあるので、合計3024本の浸透膜エレメントを使っているという計算になります。すごい数ですね!

さて、ここで海水淡水化センターの施設について紹介します。
先程説明した逆浸透設備は赤い枠で囲われている部分です。図から、淡水化を行う前にろ過をしていることや圧力をかけて淡水化を行っていることもわかりますね。

濃縮水の排水問題

沖縄県海水淡水化センターでは、独自のやり方で濃縮水(淡水を取り出した後、塩分等が濃くなった海水)の排水問題に対応していました!
ここでは沖縄県海水淡水化センターが行っている濃縮水の排水方法を、職員の方から教えていただいた内容を中心に説明していきます!

沖縄県海水淡水化センターでは、濃縮水を放流塔の複数のノズルから高い流速で、噴射しています。

上の写真のように、放流塔から12mほど離れた海底では、濃縮水が周辺の海水と混ざり、ほとんど同じ濃度になっていることがわかります。海底には生物が多いため、生態系への影響を考えると、このように海底付近の塩分濃度がほとんど上昇しないことは重要です。排水直後は塩分濃度が5.8%と、通常の海水の濃度:3.5%の1.7倍程度高いのですが、12m離れた地点では3.54%までと、周辺の海水とほぼ同じ塩分濃度になるのです。

実際の放流塔の写真です。
また、沖縄の近くには黒潮が流れているため、長期的に見ても周辺の塩分濃度が高まることはありません。

最後に

最後まで読んで下さり、ありがとうございます!
このページを通して、リアルな海水淡水化に少しでも興味を持っていただけると幸いです。もし、沖縄県海水淡水化センターへ見学に行きたい場合は事前予約が必要となりますのでお気をつけください(ちなみに、地元の小中学校などの団体予約が多いため、個人で見学に来る人は珍しいそうです)

海水淡水化センター前で撮影した写真です!

取材を行った際、海水淡水化センターの方がとても丁寧に説明してくださいました。動画を視聴したり、実際に設備を見に行ったり、写真や実物を多く使って説明してくれたりととてもわかりやすかったです!取材に協力していただき、本当にありがとうございました!

参考文献

海水淡水化センター
参照:2023.10.15

※本ページで使用している画像は、上の参考文献から頂いた画像と自分で撮影、作成した画像です。