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農業ロボット




基幹的農業従事者の減少

農業従事者の減少にはいくつかの要因があります。まず、下記のグラフをご覧ください。これは2024年1月1日現在の都道府県別人口のデータです。このグラフからわかるように、農業生産が活発な地方から都市部への移住が進んでいます。



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(総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数(令和6年1月1日現在)」をもとに作成)



これにより、農業に従事する人が減り、基幹的農業従事者
ふだん仕事として主に自営農業に
従事している者
の高齢化も進んでいます。また、若い世代が農業を選ばなくなっていることも一因です。
農業の仕事は大変で、天候の影響を受けるため収入が不安定なことも、就業者の減少に繋がっています。

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(農林水産省「年齢階層別基幹的農業従事者数」をもとに作成)

日本の食料自給率

食料自給率とは、国内消費に対する国内生産の割合を示す指標です。国全体で見た場合に、私たちが消費している食料のうち、どれだけが国産であるかを示す数字になります。現在、日本の食料自給率はカロリーベース 国民一人あたりの1日の摂取カロリーの中で、国産品が占める割合を算出したもので38パーセント、生産額ベース 国民に供給される食料の生産額に対する国内生産の比率のことで61パーセントとなっています。下記グラフを見てわかるように2000年代に入ってからは、自給率はほとんど変わっていません。



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(農林水産省「日本の食料自給率」をもとに作成)



食生活が「和食」から「洋食」に変化し、肉の需要が増加したことで、飼料用を含む穀物全体の自給率が低い日本では、輸入が増加したことも一因です。最近では、米がスーパーから消えるという現象も見られましたが、実際には米の消費が減少し、肉や油の消費が増加しています。この状況は、日本の食料供給が安定していないことや、農業の将来に対する不安につながります。そのため、これからは農業のやり方や私たちの食生活を見直すことが必要になります。

農業の技術革新「農業ロボット」の必要性

農家の方々の高齢化が進んでいて、農業を支える人が減ってきている現在、農家の方の負担とされている雑草防除や耕起、収穫などを担う農業ロボットが注目されています。 農業ロボットは遠隔操作で自動で作業を行うことができるため、時間を節約でき、若い人たちにも農業に興味を持ちやすくなります。さらに正確な作業ができるので、作物の品質が向上し、安定した生産が可能になります。天候にも左右されることなくいつでも作業ができることも利点のひとつです。これにより、地域の活性化にもつながり、新しい仕事が生まれたり、地元の経済が活発になったりする可能性を秘めています。Society5.0の未来社会では、農業ロボットが当たり前になり、畑や田んぼの管理もロボットが自動で行う時代が近づいているかもしれません。



株式会社テムザック様に
『農業ロボット』について、取材させていただきました

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                         (チームメンバーが撮影)

~企業様紹介~

株式会社テムザックは、日本で数少ないサービスロボットの開発・製造・販売を専業とするロボットメーカーです。社会に役立つ意味のあるロボット【WORKROID 株式会社テムザックが開発した
ロボットの名称
】の開発をミッションとし、これまでに、受付・案内ロボットを皮切りに、医療、レスキュー、警備、モビリティ、農業、建築など多岐にわたる分野で活躍するWORKROID 株式会社テムザックが開発した
ロボットの名称
を開発されています。




雷鳥1号
雷鳥2号
雷鳥3号

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(引用元:株式会社テムザック





上記は、テムザックの多機能型農業ロボットです。雷鳥1号(播種ロボット)雷鳥2号(多機能型農業ロボット 耕起&収穫)雷鳥3号(害獣対策ロボット)の多機能型農業ロボットを開発されています。



雷鳥1号(播種ロボット)

重量8㎏の小型で、播種(種まき)を自動で行うことができる農業ロボットです。太陽光発電エネルギーで稼働するため、環境に優しく、また小型のロボットを複数台連携させることで、小さい田んぼや形の悪い田んぼなど条件不利農地でも効率的に対応可能できるロボットになります。

(引用元:株式会社テムザック

 



雷鳥2号(多機能型農業ロボット 耕起&収穫)

耕起や収穫などの農作業をすべて電動で行う多機能型農業ロボットです。電動で環境に優しく、水平・旋回移動などの小回りが利くため、条件不利農地にも対応可能なロボットになります。

(引用元:株式会社テムザック

 



雷鳥3号(害獣対策ロボット)

稲作などの農業において問題となっているイノシシなどの害獣対策のために開発された害獣対策ロボットになります。圃場 田や畑など農地のこと周辺の水路等からポンプでくみ上げた給水高圧で放水して追い払います。 この機能により、農作物の収穫に大きな被害をもたらす害獣を効果的に排除できるため、従来必要だった夜間の見回りや遠隔監視の手間を省くことでき、農家にとって大きな助けとなるロボットです。

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(引用元:株式会社テムザック

 






動作解析5.0チーム

私たちは、センサーや通信技術を活用し、リアルタイムで状況を把握しながら遠隔操作が可能な『農業ロボット』に興味を持ちました。

動作解析5.0チーム

農業ロボットは、稲作のどのような作業に使用されますか?

播種(種まき)の際に使用します。 当社が行う稲作では田植えは行わず、複数台のロボットが播種(種まき)した位置を確認しながら田んぼの水面を走行し、種籾を落としていきます。また、播種(種まき)していない場所を自動で検知して、ロボットがその位置に向かうように制御されています。

動作解析5.0チーム

農業ロボットが普及すると、農業の効率や生産性はどのように変わると考えますか?

ロボットの種類によりめざす効率や生産性は異なると考えています。 北海道や海外のような広大な土地では、大型の機械で、効率・生産性を最大化することがもとめられますが、当社が開発している小型のロボットは逆に、真っ先に担い手がいなくなる(離農してしまう)山あいの狭小・不整形地を対象にしています。 そのため、大規模化と比較すると効率や生産性は上がらないかもしれませんが、担い手がいない場所にこそ、稲作を継続・維持手段としてロボットが必要と考えて開発を行っています。

動作解析5.0チーム

メンテナンスにかかるコストや費用などはどのくらいになりますか?

まだ開発段階であり発表できる情報はございませんが、今後販売を開始するまでには、できるだけメンテナンスが不要で製品価格を抑えたものにする予定です。それでも、農家さんがロボットを購入するのはハードルが高いため、サブスク形式 月額や年額といった定額料金を支払うことで一定期間、商品やサービスを利用できる仕組みなどで必要な時期だけロボットを利用できるサービスを用意することも考えています。

動作解析5.0チーム

私たちはこの農業ロボットが普及することで、たくさんの方が農業という職種に興味を持つのではないかと思いました。今後の展望を是非お伺いしたいです。

私たちがめざす世界観は、たとえば地方都市への移住を規模する人が、兼業・副業で稲作にも取り組める仕組みを作り、生活の質が高い暮らしを実現することです。都市部や工場などでの生活や労働の傍ら、スマホで田んぼのロボットを昼休みに確認・制御して、ロボットができない事は、自身が作業したり近隣の方々に作業を依頼できる仕組みを考えています。これらを実現するプラットフォーム 技術基盤やサービスの仕組みなどが出来たら、農業に関わりたいという方を増やすこともできると考えています。




株式会社テムザックの災害レスキュー『援竜T-54』とパーソナルモビリティ『RODEM』についても取材をさせていただきました。
災害レスキュー『援竜T-54』の取材についてはこちらから


パーソナルモビリティ『RODEM』の取材についてはこちらから




まとめ

農業ロボットは、今の農業にとって本当に必要だと思います。農家の高齢化や食料自給率の低下は深刻な問題で、ロボットがその手助けをしてくれるのは期待大です。自動で作業をしてくれることで、効率が良くなり、若い人たちも農業に興味を持つ可能性を秘めています。これからの未来社会、Society 5.0では人間の生活を中心に考えることが重要ですが、効率的に多機能型農業ロボットを活用することで、日本の食文化をさらに豊かにする可能性があると感じました。



参考文献

参照日:2024.10.24

株式会社テムザック
リリース|ロボットの群れが、自動で種まき!新型『雷鳥1号』播種対応モデルを発表
リリース|『雷鳥2号』を開発
リリース|害獣対策ロボット『雷鳥3号』を開発


参照日:2024.10.24

総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数


参照日:2024.10.24

農林水産省「日本の食料自給率」「基幹的農業従事者


参照日:2024.10.24

令和の米不足~店頭から米が消えた理由と今後~







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