シェルターメディスン
アメリカでは当たり前?シェルターメディスンってなに?
皆さんはシェルターメディスンという言葉を聞いたことがありますか?
シェルター(shelter:保護施設)のメディスン(medicine:医学)つまり、動物保護施設に特化した獣医学のことです。動物保護施設ではたくさんの動物を同時に管理するため、個々の動物ではなく群全体を管理する独自の視点が必要です。
日本の保護施設ではまだ根づいていない考え方ですが、アメリカの保護施設ではすでに一般的になっており、行政管轄の保護施設ならどこでも行われています。では、シェルターメディスンという学問では、具体的にどのような考え方をしているのでしょうか?
シェルターメディスンの考え方
シェルターメディスンを導入している施設では、保護施設に専用のソフトウェアを導入して施設内の動物の状態を数値化して管理します。
ではどうして数値化をするのでしょうか?
それは、シェルターメディスンにおいて一番大切な「群管理」を適切に行うためです。一度にたくさんの動物の世話をしなくてはならない保護施設では、一頭一頭の幸せを考えて世話をすることはできません。たとえそれがある動物にとっては不幸なことだとしても、群全体のためになることならその動物のことはあきらめるしかないということもあります。
冷たいと感じる人もいるかもしれませんが、保護施設の目的は、よりたくさんの動物に大切に世話をしてくれる里親を見つけてあげること。この考え方も、できるだけ多くの動物を守る手段として大切なことなのです。そして、たくさんの動物を効率よく助けるための手段として、客観的な見方がしやすい「数値化」が必要になってくるのです。
日本での取り組み
日本でもこのシェルターメディスンの考え方を広めようと、施設を運営している方に向けてシェルターメディスンセミナーというものが行われています。 今後のさらなる取り組みが必要ですが、日本の保護施設も他の動物愛護先進国のように少しずつ変わりつつあります。
まとめ
シェルターメディスンはアメリカの保護施設では当たり前となっていて、動物を一匹単位でとらえるのではなく、群として捉えて管理する考え方の学問です。日本でも少しずつ知られてきていますが、まだまだ認知度は低いです。