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ICT利用

獣害対策におけるICT利用は、近年注目を集めている重要な対策です。

ICTを活用した獣害対策には、いくつかの具体的な事例があります。以下に主な事例をご紹介します。

遠隔監視・操作システム

遠隔監視型大型箱罠

西条市(愛媛県)では、カメラで罠の内外の状況を遠隔監視し、遠隔操作で罠の扉を閉めることができるシステムを導入しています。
これにより、群れで行動する動物に対して一斉捕獲の効果が期待されています。

「ワナの番人」サービス

このシステムでは、罠に動物がかかるとメール通知が来るため、迅速な対応が可能になります。
作動した罠の位置を事前に把握できるため、安全な対応が可能になります。
LPWA(Sigfox)通信を使用しているため、乾電池長期間稼働でき、ランニングコストを抑えられます。

センサー技術の活用

アニマルセンサー

罠に入った動物の頭数や大きさ(幼獣・成獣)を判定して仕掛けを落とす装置です。
これにより、効率的な捕獲が可能になります。

通信タイプのトレイルカメラ

「TREL(トレル) 4G-R」などを使用して、対象動物の特定けもの道の見極めが可能になります。
そのため、効果的な罠の設置場所を選定するのに役立ちます。

ドローン技術の活用

空撮と赤外線カメラの組み合わせ

ドローンを使用して、イノシシやシカなどの生息状況をより正確に把握することができます1。
被害状況の把握にも活用されています。

広域通信システムの活用

長距離無線通信

猪苗代町(福島県)では、電波到達距離が最大200kmの通信システムを導入しています3。
携帯圏外の山間部でも使用でき、中継機1台で町内の罠すべてをカバーできます。
これらのICT技術の活用により、見回りの負担軽減捕獲効率の向上安全性の確保コスト削減などの効果が得られています。獣害対策におけるICTの活用は、人手不足高齢化が進む地域にとって特に有効な解決策となっています。

ICTを活用するにあたった課題

ICTを活用した獣害対策の運用コストについて、主に通信費が課題となっています。以下に具体的な情報をまとめます。
通信費の課題
高額な通信費
現在のICTわな1基あたりの年間通信費は約14万円にのぼります。
この費用は現在、市が負担していますが、行政にとっても大きな負担となっています。

補助制度の不足

ICTわなの導入費用については国が半額を補助していますが、設置後の通信費には補助制度がありません。

コスト削減の取り組み

通信費削減目標


年間の通信費を現在の3分の1程度に抑えることを目標としています。
低コスト装置の開発
福知山公立大学の学生たちが、ランニングコストが低い装置の開発に取り組んでいます。
この開発には280万円の研究費が委託されています。

LPWA通信の活用

LPWA(Sigfox)通信を使用することで、低電力での稼働が可能になります。 これにより、乾電池での運用が可能となり、電源工事が不要 になるため、ランニングコストを抑えられます。

既存のわなの活用

使われなくなって放置されているわなにICT装置を取り付けることで、初期費用を抑える構想があります。

運用コスト削減の効果

地域主体の獣害対策の実現


通信費が抑えられれば、農区がICTわなの維持管理をする場合でも、わな管理料(シカ3千円、イノシシ2千円)で相殺できる可能性があります。

持続可能な獣害対策

コスト削減により、ICTわなを使った地域主体の獣害対策の水平展開が期待されています。
これらの取り組みにより、ICTを活用した獣害対策の運用コストを大幅に削減し、より持続可能なシステムの構築を目指しています。
通信費の削減が実現すれば、より多くの地域でICTわなの導入が可能になると期待されています。


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