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集落ごとの取り組み
集落ぐるみの取り組みの重要性
獣害対策は一農家だけでは限界があり、地域全体で連携・協力することが不可欠です1。
農林水産省は「鳥獣被害対策の3本柱」として、個体群管理、侵入防止対策、生息環境管理を掲げており、これらはすべて地域住民の協力が必要です
合意形成の重要性と手法
合意形成は地域ぐるみの対策の基礎となります。以下のステップで進めます
・弱点チェック
「鳥獣害に強い集落・ほ場の判定リスト」を用いて住民自身が集落の弱点を確認します。
・弱点の自覚
住民とともに集落内・周辺を歩き、実際に放任果樹や生ゴミの放棄、被害状況などを確認します。
・弱点の共有化
確認した情報を地図上に落とし、集落の弱点を住民全体で共有します。
・具体的対策の提案
放任果樹の管理、農作物残渣の適切な処理、防護柵の設置など、具体的な改善策を提案します。
組織体制の構築
・対策会議の開催
・集落組織、市町村役場、普及指導センターの3者で対策会議を開きます。
対策素案の作成と合意
地域指導機関が具体的対策素案を提示し、集落組織の役員会、総会で合意を得ます。
関係機関との連携
行政、狩猟者団体、試験研究機関などと連携し、総合的な対策を実施します。
「獣害対策の5か条」の実践
エサ場をなくす
隠れ場所をなくす
正しく柵で囲う
加害個体を適切に捕獲する
適正な密度管理を進める
具体的な対策例
・組織的な追い払い
特にサル対策として効果的です。集落全体で計画的に実施することで、出没頻度を減少させます。
・多獣種防護柵の設置
「おじろ用心棒」などの多獣種に対応した防護柵を設置します。集落の出会い作業で設置・管理を行います。
・加害個体の集中的な捕獲
防護柵と併用して、侵入する個体を集中的に捕獲します。
環境整備
耕作放棄地の管理、藪の刈り払いなど、獣が隠れられる場所を減らします。
・成功事例:三重県伊賀市阿波地域
7つの集落からなる地域で、阿波地域住民自治協議会が各集落の獣害対策を支援・調整しています。
下阿波集落では組織的なサル群の追い払いにより、被害が大幅に減少しました。
子延集落では追い払いに加え、多獣種防護柵の設置により、シカ・サルともに被害が大幅に軽減しました。
これらの取り組みを通じて、地域全体で獣害対策に取り組むことの重要性が示されています。集落ぐるみの対策は、単に被害を減らすだけでなく、地域コミュニティの強化にもつながる重要な活動です。