福島の現状 

ふくしま学宿2017

3日目

【原発事故で失ったもの】

飯舘村をバス内から見学しつつ、農園を営まれている女性のお話を伺いました。福島の原子力発電所で作られていた電気は、主に関東地方で消費されていたため、飯舘村は直接、電気の恩恵は受けていませんでした。それでいて、津波も受けていないのに、今まで地道に作り上げてきた栄養をたっぷり含んだ土が除染のために地表から5cmも削られ、子供たちの通学路沿いに積まれるというやるせなさに胸が痛くなりました。このように、津波のような自然災害だけでなく、人間の不注意や無関心が原因で起こった事故によって今も苦しんでいる人がいるのです。

【避難所の運営について】

最後は、避難所の運営責任者をしていらっしゃった教授の方から、当時の避難所の切迫した状況を伺い、避難所運営のシミュレーションを行いました。「災害の危険がないと思われている地域は避難の受け入れ先になるんだ」という言葉には、納得したとともに、今後の災害の備えについて深く考えさせられました。

今後30年以内に、首都直下型地震や南海トラフ地震が起こることが予測され、東日本大震災よりも多くの避難者が出ると予想されている今、人ができるだけ過ごしやすい避難所の環境をつくるために、私たちのような若い世代が備えていかなければならないと感じました。

↑積み上がる除染後のフレコンバッグの山

【2017 まとめ】

3日間を通して、様々な質問をしたり、他校生徒も交えた5,6人のグループで、1日の終わりに模造紙と付箋を広げてディスカッションをしたり、みんなで考えるという意味でも大きな意味を持つ学宿だったと思います。

↑話し合いの時にみんなで出し合った意見をまとめたもの

しかし、お話を聞く中で、「これは果たして本音なのだろうか?」と疑問に感じる場面もありました。立場によって十人十色の意見、本音と建前があるのは仕方ないけれど、その殻にこもらずに意見しあえる環境をいかにして作るかが課題だと感じました。 また、景色がきれいで食べ物もおいしいのに「住みたい」という感情につながる決定打が足りないように思え、その要因の見極めと対策の必要性を強く感じました。

災害はいつどこで起こるかわかりません。 私たち高校生が他人事ではなく自分のこととして、知り、考え、発信する方法について考えさせられた3日間になりました。

また事後活動として、福島でいただいた3日間使用した手作り名前缶バッヂに同封されていた向日葵の種を春に植え、夏に種を140個収穫し、ふくしまに送り返しました。これは、人の輪をつなげていく、広げていくといった意味を持つプロジェクトのひまわりです。手元にとってある4粒はまた来年育てて送りたいと考えています。

↑育てた向日葵と収穫した種

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