一般用医薬品(OTC医薬品)

~目次~
一般用医薬品(OTC医薬品)とは

一般用医薬品(OTC医薬品)は、ドラッグストアや薬局などで処方箋なしで購入できる薬です。店頭のカウンター越しで販売されることから、オーバー・ザ・カウンター(Over The Counter)の略称で『OTC医薬品』と呼ばれています。風邪薬や胃腸薬、ビタミン剤などがあり、比較的軽い症状の改善や健康維持に使われます。使用上の注意や用法を守ることで安全に使用できます。

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一般用医薬品(OTC医薬品)の分類


一般用医薬品(OTC医薬品)は、安全性や使用上の注意に応じて分類されており、それぞれ販売方法や説明の対応が異なります。(表1)

表1 一般用医薬品の分類と販売における対応

医薬品分類 対応する専門家 販売者からお客様への説明 お客様からの相談への対応 インターネット・郵便等での販売
要指導医薬品 薬剤師 対面で書面による情報提供(義務) 義務 不可
第1類医薬品 薬剤師 書面による情報提供(義務) 義務
第2類医薬品 薬剤師 または 登録販売者 書面または口頭による情報提供(努力義務) 努力義務
第3類医薬品 薬剤師 または 登録販売者 法律上の規定なし 法律上の規定なし

第1類医薬品
副作用や相互作用などの観点から、安全性において特に注意が必要とされる医薬品です。 店舗では、生活者が薬剤師の説明を受けずに購入することがないよう、手の届きにくい場所への陳列が求められています。 販売は薬剤師のみが行うことができ、販売時には書面による情報提供が義務付けられています。

第2類医薬品
副作用や相互作用などの面で、安全性において注意を要する医薬品です。 この中でも特に注意が必要とされるものは「指定第2類医薬品」に分類されます。 風邪薬、解熱剤、鎮痛剤など日常的に使用頻度の高い製品が多く含まれています。 専門家による情報提供は努力義務とされています。

第3類医薬品
副作用や相互作用のリスクが、第1類・第2類に比べて比較的少ない医薬品です。 それらに該当しない一般用医薬品がこの分類に入り、生活上の軽い不調の改善などに用いられる製品が多く含まれます。

一般用医薬品(OTC医薬品)のメリットとデメリット

一般用医薬品(OTC医薬品)のメリット
・医師の処方箋がなくても手軽に購入できるため、ちょっとした体調不良にすぐ対応できる。
・ドラッグストアや薬局で購入できるため、利便性が高く、時間にとらわれない。
・セルフメディケーション(自己管理)に役立ち、健康維持に貢献する。

一般用医薬品(OTC医薬品)のデメリット
・自己判断で使用するため、誤った使い方や過剰な服用による健康リスクがある。
・副作用や薬の相互作用を見落としやすい。
・重い症状や疾患を見逃し、適切な医療を受ける機会を逃す可能性がある。
・お薬の中身が重複しやすい。
・あくまでも症状の緩和を目的としている。
・近年では、若者を中心に市販薬を大量に服用する「オーバードーズ(過量服薬)」が問題になっており、
 依存や健康被害のリスクが高まっている。

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「指定乱用防止医薬品」の販売制限対象

指定乱用防止医薬品とは、一般用医薬品のうち、乱用のおそれがあるため販売に際して特別な規制が設けられた医薬品を指します。正式には「濫用等のおそれのある医薬品」と呼ばれ、厚生労働大臣が薬機法施行規則に基づき指定します。(表2)近年、咳止め薬や風邪薬などの市販薬が本来の用途を超えて使用されるオーバードーズが若年層を中心に社会問題化しており、こうした乱用を防止するために制度が設けられました。2025年7月23日には、販売制限の対象年齢を18歳未満とする方向性が了承されています。薬剤師や薬学生は、対象成分や関連法規を正確に理解したうえで、乱用防止対策に取り組むことが求められます。


表2 指定乱用防止医薬品

有効成分 / 確認項目 主な作用・用途 / 内容 該当する市販薬の例 販売時の規制・ルール
エフェドリン 興奮作用 総合感冒薬、気管支拡張薬
  • 販売数量:原則1人1包装まで。複数購入の場合は理由確認を行う
  • 若年者:氏名・年齢確認、保護者同意や販売差し控え
  • 重複購入確認:他店での購入履歴をチェック
  • 購入用途確認:治療目的逸脱でないかを確認
  • 販売者対応:薬剤師または登録販売者が説明
コデイン 鎮咳去痰(オピオイド系) 咳止め薬、鎮咳去痰薬
ジヒドロコデイン コデイン類似の鎮咳去痰作用 咳止め薬、鎮咳去痰薬
ブロモバレリル尿素 鎮静作用 鎮静薬、眠気誘発薬
プソイドエフェドリン 鼻粘膜充血除去 鼻炎用内服薬、総合感冒薬
メチルエフェドリン 気管支拡張 総合感冒薬、咳止め薬
一般用医薬品(OTC医薬品)の現状と役割

一般用医薬品(OTC医薬品)とは、病院の処方なしでドラッグストアなどで購入できる薬のことをいいます。日本の一般用医薬品(OTC医薬品)全体の市場規模は、2020年の約8,370億円から大きな変化はなく、2025年には約8,410億円に少し増える見込みです。 一方で、インターネットを通じた一般用医薬品(OTC医薬品)の販売は、著しい伸びを見せています。2020年の562億円から2025年には885億円に達すると予想されており、およそ57%の増加が期待されています。(図1) このことから、全体の市場はほぼ安定しているものの、その中でネット販売だけが特に成長していると言えます。背景には、ネットショッピングの利便性が高まったことや、新型コロナウイルスの影響で外出を控える人が増えたことなどがあると考えられます。

図1 インターネットを通じた一般用医薬品(OTC医薬品)の販売売上

(株式会社矢野経済研究所 オンライン薬局市場に関する調査を実施(2023年) をもとに作成)
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外国人に人気!爆買いされる日本の市販薬のヒミツ

厚生労働省は、新型コロナの感染が広がったころ、中国からの観光客による市販薬の大量購入(爆買い)が増えていることを受け、ドラッグストアや薬局に購入制限などの対策を要請しました。もし大量に買われ続けると、必要な人が薬を手に入れられなくなるかもしれません。 中国人や台湾人に人気の日本の市販薬には、サロンパスや熱さまシートなどがあり、「神薬」と呼ばれています。これらのパッケージにわかりやすいイラストが描かれていて、日本語が読めなくてもどんな薬かがすぐに分かります。一方で、外国の人の中には使い方や効き目が分かりにくいと感じる人もいて、うまく薬を使えない場合もあります。 日本の薬が人気なのには理由があります。まず一つは、品質が高く安全だということです。Made in Japanは世界中で信頼されていて、医薬品は体に直接取り込むものなので、安全性がとても大事です。 さらに、日本の市販薬は子どもでも飲みやすいフレーバーが付いていたり、かわいいパッケージだったりして、乳幼児にも使いやすい工夫がされています。こういう点も、購入の理由になっています。訪日中国人は旅行中に医薬品や健康グッズをたくさん買っていて、旅行消費額は1兆5,370億円と最も高いです。

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一般用医薬品(OTC医薬品)の流通経路

一般用医薬品(OTC医薬品)は、基本的に「医薬品メーカー(製薬会社)」から「医薬品卸業者」を経て、「薬局」「ドラッグストア」「ECサイト」などの小売店に届けられ、最終的に生活者のもとへ提供されます。

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参考文献及び参照日

医療用医薬品とOTC医薬品|中外製薬 (参照日:2025年8月2日)

医療用医薬品|Answers (参照日:2025年8月2日)

医療用医薬品とOTC医薬品|薬局新聞 (参照日:2025年8月2日)

指定乱用防止医薬品とは:一般用医薬品のオーバードーズ対策|薬事日報 (参照日:2025年10月13日)

中国人の解熱剤「爆買い」阻止へ、ドラッグストアに個数制限など要請…厚労省|読売新聞 (参照日:2025年10月13日)

12の神薬(しんやく)とは?中国人と台湾人に人気・その理由・成功企業の3つの戦略|訪日ラボ (参照日:2025年10月13日)