PTPシート(Press Through Package)は、カプセルや錠剤などの医薬品に広く使われる包装形態で、凸型に成形した透明なプラスチックシートとアルミ箔で薬を個別に包みます。プラスチック側から押し出すことで薬を取り出せる構造になっており、薬は外部環境から保護され、個別に密封されるため品質が保たれます。日本では年間約13,000トン、約130億枚が生産されており、医薬品包装として最も広く使用されています。
材料について
PTPシートは、カプセルや錠剤を個別に包むためにさまざまな材料で作られており、それぞれの特徴に応じて使い分けられています。
メリット
PTPシートは、1錠ずつ個別に包装されているため衛生的で、プラスチック側から簡単に押し出して取り出せます。透明な素材で中身の錠剤やカプセルを確認でき、材料によって酸素や水分を遮断するため保存性も高く、必要な分だけ持ち歩けるなど、利便性にも優れています。
デメリット
PTPシートは、高齢者や手の力が弱い人には少し開けにくく、プラスチックとアルミの素材でできているためリサイクルが難しく環境への負担もあります。また、個別包装なのでコストがやや高く、一度開けると元に戻せません。
PTPシートは、錠剤を1つずつ個別に包装することで、薬の衛生面や安全を守る大切なパッケージのひとつです。透明なプラスチックで中身が見えることは残量や薬の種類が確認しやすく、アルミを押し出すことで取り出せるので、薬を飲む動作が簡単になります。また、1錠ずつ密封されていることで間違いを防ぎ、わかりやすい構造になっています。 しかし、高齢者や手の力が弱い人には開けにくいことがあり、プラスチックとアルミを使った素材は分別が難しいなど、環境負荷の課題もあります。 それでも「見る・触れる・わかる」という特徴は、誰もが安心して薬を使うために欠かせない要素です。今後はさらに開けやすく、環境にもやさしい改良が求められています。
~企業様紹介~
株式会社カナエは、「包装材料」「包装機械」「包装加工」の総合力と、医薬品、化粧品、食品などさまざまな分野で培われたパッケージングの経験を活かして、お客様に安全で安心できる新しいパッケージを提案されています。
幅広い分野での実績とノウハウをもとに、使いやすく、衛生的で環境にも配慮した包装ソリューションを提供されており、企業や製品の価値向上に貢献されています。
(左画像)DosePak®<ドーズパック>は、見開きで表示面が広く、台紙にPTPがセットされているため、複雑な処方もひと目で分かりやすく確認できます。ブック型なので、人前で服薬する際もプライバシーを守れます。また、錠剤の取り出しに特定の動作が必要なため、小児の誤飲リスクを減らすことができます。ピルケースを使わず、そのまま持ち運び可能で、スリムな形状により場所を取らず、アルミ蓋材も保護されています。
(右画像)しましまPTP台紙は、台紙を折り曲げることで蛇腹状のポケットが折りたたまれ、簡単に薬を取り出せる構造になっています。通常の台紙PTPと同様に表示スペースを確保できるため、服用日などの記入も可能です。また、台紙に「ecobliss」という環境配慮型の接着技術を使用することで、熱を使わずに接着でき、加熱エネルギーを削減し、環境負荷の軽減に役立ちます。
御社のDosePak®(ドーズパック)としましまPTP台紙について、とても興味があり是非お話をお伺いしたいです。
製品のコンセプトと開発背景について、DosePak®(ドーズパック)やしましまPTP台紙はどういった課題から開発されたのでしょうか。
また、開発の中で特に苦労した点などありましたら教えていただけるとうれしいです。
しましまPTP台紙は、従来のPTPシートでよくある「両手を使って押し出す必要がある」
「錠剤を押し出した際に床へ落としてしまう」といった課題を解決するために開発されました。
通常のPTPは平らな形状で、確かに錠剤を守る強度は高いのですが、そのぶん取り出しやすさに欠ける面がありました。
そこで、片手で簡単に錠剤を取り出せるよう、台紙を折り曲げることで錠剤が押し出せる仕組みを採用しました。
この工夫により、もう片方の手を使わなくても薬を落とさず取り出せるようになっています。
開発では試行錯誤を重ねた結果、アコーディオン状の構造を採用することで、
強度を保ちながら指先で容易に折り曲げられる仕組みを実現しました。
この工夫により、扱いやすさと安全性を兼ね備えたデザインへと結びつけることができました。
包装開発にはどれくらいの期間がかかりますか
パッケージとして設計からコンセプト立案、実際の形にしていくまでにはおおよそ2~3年ほどかかります。
また、実際に包装する製剤の特性によっても異なるのでさらに時間を要することがあります。
ユーザー、例えば実際に使われた方からの反応や評価などのフィードバックがありましたら教えていただけると嬉しいです。
製薬メーカーからは「錠剤が取り出しやすい」という評価をいただいています。また、週1回服用する製剤などでは、従来のパッケージでは表示面積が不足し、服用者に必要な情報を十分に伝えることが難しいという課題がありました。その点、台紙型のパッケージにすることで、国が定める必要情報をしっかり記載でき、使用者に安心して服用していただけるようになりました。
技術面で例えば他社製品との違いなど、しましまPTP台紙やDosePak®(ドーズパック)などの製品では、技術面やデザイン面でどのような工夫やこだわりがありますか?
しましまPTP台紙は特許を取得しており、独自の技術として展開しています。 DosePak®(ドーズパック)は海外由来の技術を使用していますが、日本での使用に際しては安全性や使いやすさに配慮した工夫が施されています。特にチャイルドレジスタンス(CR)包装の認証を取得しており、ワンアクションでは開封できない仕組みにすることで、子どもには開けにくく、必要な人には扱いやすいデザインを実現しています。 このように、独自性と安全性を両立させたパッケージであることが大きな特徴です。
SDGsや環境への配慮の観点から、御社では包装材のリサイクル性やサステナブルパッケージの導入にどのように取り組まれていますか。特に、製品開発や素材選定の面で意識されているポイントがあれば教えてください。
私たちは、パッケージの単一素材化(モノマテリアル化)やバイオマス素材の活用を重視しています。一般的にPTP包装にはPVCやポリプロピレン、アルミ箔などが使われますが、複数素材の組み合わせはリサイクルが難しいため、ポリプロピレンの蓋材を使用することで単一素材化を実現しています。 また、製剤の特性に応じて水分に影響を受けにくい素材を選び、バリア性を保ちながら環境対応を進めています。ポリプロピレンはバイオマス対応も可能で、環境に配慮したサステナブルパッケージへの応用が期待されています。 さらに、紙素材は環境にやさしい素材ですが、湿気などへの耐性(バリア性)が課題となるため、パッケージ化の際には製剤とのバランスを考慮する必要があります。さまざまな角度からサステナブルな取り組みを進めています。
5年後、10年後の未来社会において、医薬品包装の開発はどのような方向に進むとお考えですか。
今後の医薬品包装では、従来の「人が使いやすい」という視点に加え、デジタル技術との連携が重要になると考えています。たとえば、錠剤を取り出したタイミングをスマートフォンで通知できる仕組みや、高齢者が服用したかどうかを遠隔で確認できるシステムなどです。週1回服用する製剤では、服用忘れを防ぐために、パッケージとスマートデバイスが連動して知らせるようなデジタル対応が、今後ますます求められると考えます。
今回、DosePak®(ドーズパック)やしましまPTP台紙について取材を行い、医薬品包装には単に薬を入れるだけでなく、使いやすさや安全性を高めるためのさまざまな工夫があることを学びました。 特に印象的だったのは、しましまPTP台紙の設計です。片手で錠剤を取り出せる工夫やアコーディオン状の構造など、利用者の立場に立った細かな技術が盛り込まれており、日常のちょっとした不便さにも配慮されていることに驚きました。こうした工夫によって、誰にとっても安心して使える包装が実現されていることを改めて感じました。 また、開発には試行錯誤が重ねられ、強度と取り出しやすさを両立させる工夫や、情報をしっかり表示できる工夫など、パッケージ一つにも多くの工夫と技術が詰まっていることを学びました。こうした考え方は、単に利便性や安全性を高めるだけでなく、未来の服薬支援デザイン構想にもつながる重要な視点だと感じます。 今回の取材を通じて、薬を取り扱う全ての人にとって使いやすく、安全で、将来的により便利で安心な服薬支援が実現できる包装の重要性を、改めて実感しました。
参考文献及び参照日
PTPシートとは?主な材料、製造工程や利点・課題などを紹介|株式会社カナエ (参照日:2025年7月26日)
しましまPTP台紙|株式会社カナエ (参照日:2025年7月26日)
DosePak®|株式会社カナエ (参照日:2025年7月26日)
薬の包装が資源に?おくすりシートのリサイクルと環境負荷削減|環境のミカタ (参照日:2025年7月29日)