伝わるデザイン

~目次~
伝わるデザインとは

視覚的デザインは情報伝達を大きく左右する

人は言葉よりも、写真・グラフ・図などの視覚情報のほうが理解しやすいため、視覚的な要素は情報を正確かつ分かりやすく伝えるうえで大きな役割を果たします。一方で、情報を受け取る人には視覚能力や感覚の多様性があります。色覚多様性や視覚過敏などに配慮しないデザインは、誤解や不快感を生むことがあります。誰にとっても見やすいユニバーサルデザイン化を進めることが、すべての人に正しく情報を届けるために重要です。

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見やすく伝わる色使いのポイント

色は「色相(色味)」「彩度(鮮やかさ)」「明度(明るさ)」の3要素でできています。暖色は温かみを、寒色は落ち着きを与えます。標準色(赤・黄・青など)のような彩度の高い色は目が疲れやすいので、落ち着いた色を選びましょう。

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赤は注意、青は信頼、緑は安心といったように、色にはそれぞれ印象があります。同じ意味をもたせたい要素には同じ色を使い、混乱を防ぐことが大切です。

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使う色は多くても4色(背景・文字・メイン・強調)までにし、統一感を意識します。背景と文字のコントラストにも注意し、白背景には黒文字、濃い背景には白文字が基本です。迷ったときは、「背景:白」「文字:黒またはグレー」「強調:赤など」の3色構成でも十分見やすくなります。

フォントの選び方

字形が整ったフォントで、太字や斜体に対応しているものを選びましょう。スタイル・サイズ・太さを揃えることで統一感が生まれ、可読性・視認性・判読性が高まり、印象もよくなります。

一般用医薬品(OTC医薬品)に必要なパッケージデザイン

一般用医薬品(OTC医薬品)のパッケージデザインは、正しく薬を飲んでもらうためや間違えないようにすること、安全に使ってもらうことなどが大事です。また、消費者が手に取りたくなるデザインも必要です。特に、専門的な知識がなくてもわかるように、わかりやすい言葉や表現を使うことが大切です。パッケージを作るときに考えるポイントは、「文字情報」「図形情報」「色情報」「印刷」の4つです。

文字情報
文字の種類・占有率・書体・オリジナル書体・情報内容を含み、商品名や成分、薬剤名がパッケージ正面に目立つ形で配置されます。


図形情報
効用や薬剤をイメージした図形やイラストで表現され、例えば胃腸薬なら胃をイメージした図形が使われます。


色情報
色数や背景色の有無、彩色面積を考慮します。色の選択は薬効のイメージに影響し、青は浄化や癒し、緑は自然や安心、赤は血液やエネルギーなどの印象を与えます。


印刷

コーティングや箔・型押しなどの特殊印刷、特色印刷、素材の工夫などを通して、視覚的な魅力や高級感を加えます。

これらの要素を組み合わせることで、見やすく理解しやすく、かつ手に取りたくなるパッケージデザインが実現します。

安心・間違えにくい薬パッケージの必要性

一般医薬品(OTC医薬品)は、薬局やドラッグストアなどで手軽に購入できる薬です。手軽に買える分、正しい飲み方や自分に合った薬を選ぶことが大切です。安心して使えるように、わかりやすく間違えにくいパッケージが求められます。薬の名前や使い方が見やすく、色や文字、イラストにも工夫がされていると、正しく使いやすくなります。安全に薬を使うためには、パッケージの工夫が重要です。

和歌山大学・原田先生の研究を取材

『伝わるデザイン』について

大学院生の方とも交流しました

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~先生について紹介~
和歌山大学システム工学科でデザイン工学を専門とする先生は、誰にでも理解できる情報伝達デザインの研究に取り組まれています。その一例が、ピクトグラムをカラー動画化して情報を正確に伝える手法の開発です。動画では必要最小限の要素で動作や場面を表現することで意味の誤認を防ぎ、文化や宗教の違いも考慮したデザインが可能です。この手法は論理的なデザインプロセスと科学的な実験を組み合わせて制作され、国際イベント向けのピクトグラム改善などにも応用されています。

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服薬支援
チーム

先生がご研究されているデザイン工学の観点からお伺いしたいのですが、先生にとって「人に伝わるデザイン」とは具体的にどのようなものを指すのでしょうか。

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原田先生

私の専門はデザイン工学の中でも「情報デザイン」や「製品企画デザイン」の領域にあります。もともとは自動車メーカーでデザイナーとして企画や造形を担当しており、現在は、人に情報をいかにわかりやすく伝えるか、また使いやすい製品や仕組みをどのように設計するかという観点から研究を進めています。 「伝わるデザイン」の研究は、こうした情報デザインの一分野として位置づけています。視覚的に情報を伝えるという考え方は、デザイン工学において非常に重要な要素のひとつです。 私が取り組んできた研究は、社会における「伝わるデザイン」のあり方を探る一環として実施したもので、情報を整理し、効果的に理解されるように工夫する手段としてデザインを活用してきた、という立場になります。

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服薬支援
チーム

今回先生にはWebサイト作成にあたり、様々なことを教えていただきました。
この学びを踏まえて、Webデザインで特に気を付けるべきポイントを教えていただけますか?また、それを薬のパッケージのデザインにどう活かせるか、考えていきたいです。

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原田先生

Webデザインとして重要なのは、装飾の多さではなく、情報をいかに分かりやすく伝えるかです。まず、タイトルや結論などは文字の大きさでしっかりとメリハリをつけ、目立たせることが大切です。段組やレイアウトは整然と揃え、行や段落がガタガタにならないようにすることで、読者の目線が自然に流れるデザインを心がけます。

色使いについても注意が必要です。ベースカラーを統一し、内容ごとに色を変える場合でも意味のある範囲にとどめます。意味のない多色使いは視認性を下げ、読みにくさにつながります。フォントは読みやすいものを選び、本文や見出し、強調部分ごとに適切なサイズで表示することが重要です。

装飾は最小限に抑えます。複数のボタンを囲む角丸や過剰な装飾は、かえって情報を見にくくしてしまいます。デザインとは見た目を飾ることではなく、内容を的確に、そして直感的に伝えることです。そのため、全体をシンプルにまとめ、読みやすく、結論と根拠がすぐに把握できる構成にすることが理想です。

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服薬支援
チーム

ユニバーサルデザインの観点から分かりやすい色を選ぶには、どのような工夫が必要でしょうか。

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原田先生

ユニバーサルデザインにおける色(ユニバーサルカラー)やフォントの選定は、国や文化によって受け取り方が異なる場合があります。例えば、色に関しては赤が注意や危険を示す色として一般的に認識されますが、文化によっては幸福や祝福を意味することもあります。また、青や緑も国や地域によって象徴する意味が異なることがあります。 フォントについても、視認性の高い書体を選ぶことが重要ですが、同じ書体でも文字の形や読みやすさの感覚は文化圏によって差があります。 そのため、ユニバーサルデザインを意識した色やフォントの選定では、「共通認識として理解されやすい色・書体を基本にしつつ、対象となる地域・文化に応じた調整を行う」ことが望ましいです。

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服薬支援
チーム

薬のパッケージデザインにおいて、誰でもわかりやすくするためには、パッケージに記載する文字も重要だと考えています。わかりやすいユニバーサルフォントを用いる場合、「伝わるパッケージ」とは具体的にどのようなものか、先生のご意見をお伺いしたいです。

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原田先生

薬のパッケージを誰にでもわかりやすくするためには、フォントだけでなく、文字の大きさや表現のわかりやすさも重要です。その理解をさらにサポートする手段として、図解やピクトグラムを活用することが有効だと考えられます。

まとめ

視覚的なデザインは情報を伝えるうえでとても重要で、人は文字よりも写真や図、グラフなどで理解しやすいため、誰にでも分かりやすいユニバーサルデザインを意識することが大切だと感じました。色は意味や印象を考えながら統一して使い、文字は読みやすいフォントや大きさを選ぶことで、情報を正確に伝えられ、図解やピクトグラムを取り入れることで、さらに理解をサポートできることも印象的でした。こうした視覚的な工夫は、薬のパッケージデザインにもとても必要な内容だと感じ、これを参考にすれば、さらに分かりやすく改善できるのではないかと思いました。

参考文献及び参照日

医薬品のパッケージデザインのポイントとは?注意点や表現要素について解説│株式会社カナエ (参照日:2025年10月26日)

伝わるデザイン (参照日:2025年10月26日)