食品ロスとは

「もったいない」

これは、物の本来あるべき姿がなくなるのを惜しむという意味を持つ日本の言葉です。
ではこの言葉が、世界共通語となりつつあることを知っていますか。

限りある地球資源に対する情や尊敬の念が込められているこの美しい日本語に感銘をうけた環境分野でのノーベル平和賞受賞者、
ワンガリ・マータイさんは「もったいない」を世界共通語として広めることを提唱しました。
しかし、その世界に知られた「もったいない」の美学とは反対に、日本では今、食品ロスが大きな問題となっています。


食品ロスとは?

食品ロスとは、本来まだ食べられてしまうのに捨てられてしまう食品のことです。
日本では、毎年500 〜 600万トンもの大量の食品ロスが排出されています。

日本の食料自給率は長い間低下し続けていて、先進国の中でも最低水準となっています。
農林水産省の発表によれば、2021年度の日本のカロリーベースでの食料自給率は38%。
残りの62%の食料は輸入に頼っていることになります。
お金やエネルギーを使って、 海外からわざわざ輸入している食品を大量に廃棄しているということです。


食料自給率とは?

食料安全保障の観点から最も基礎的な栄養価であるカロリーに着目したものが「カロリーベースの食料自給率」です。
カロリーベースの食料自給率を他国と比べるとカナダ、オーストラリア、アメリカなど、輸出が多い国の食料自給率は
100%を超えている一方、国内の食料自給率は30%台と他国と比べるとかなり低い水準となっています。

カロリーベースの食料自給率は消費者が積極的に国内で作られた農産物を選択することで、
国内での生産増加につながり自給率の向上にも繋がります。
国民一人一人がごはんを1日にもう一口食べることや国産大豆100%使用の豆腐を月にもう2丁食べることなどを
1年間続けると食料自給率が1%向上すると言われています。

また、食料の生産、輸入、加工、流通、販売は全て経済活動であるので、
お金に換算することができます。
そこで生産額や輸入額を基に計算した自給率が「生産額ベースの食料自給率」です。
食料全体の供給に要する金額の合計に占める国内生産額の割合で令和元年度の値は66%となっています。

カロリーベースの食料自給率は単位重量当たりのカロリーが高い米や小麦や油脂類の影響が大きくなりますが、
生産額ベースの自給率は単価の高い畜産物や野菜や魚介類の影響が大きくなるという違いがあります。
輸入品より国産品の方が高いので国内生産額は高くなり、生産額ベースの自給率はカロリーベースより高くなります。

どこで発生するの?

サプライチェーン(商品や製品が消費者の手元に届くまでの、製造、配送、販売、消費といった一連の流れ)のなかで、
食品ロスが発生する段階はいくつかありますが、
日本の定義では、食品ロスは大きく「事業系」と「家庭系」の2つに分類されます。
事業系とは製造業・卸売業・小売業・外食産業の各過程で廃棄される食品を指し、
家庭系とは家庭で食べられずに廃棄される食品を指します。


おにぎり博士、
家で食品ロスはあまり発生しないので、事業系食品ロスの方が多いのですか?



いや、実はそうではないのじゃ
食品ロス全体のなかで、家庭系食品ロスは約半数を占めておるのじゃ。

では、具体的にどの過程でどのような食品ロスが発生しているのでしょうか。

事業系食品ロスをみる
家庭系食品ロスをみる

参考文献:
MOTTAINAI -「MOTTAINAIについて」(http://www.mottainai.info/jp/about/)
ロスゼロ -「フードロスについて」(https://www.losszero.jp/foodloss.html)
農林水産省 -「食品ロス及びリサイクルをめぐる情勢」(https://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/attach/pdf/161227_4-52.pdf)「食料需給表」(https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/fbs/attach/pdf/index-13.pdf)