発汗量・不快指数の分析
熱中症の発症には「発汗量」が関係しており、一般的に、発汗量が少ないと、体の表面温度を下げることができず、熱中症になりやすいと言われています。
名古屋工業大学、北見工業大学、東北大学サイバーサイエンスセンター、一般財団法人日本気象協会の「日本の真夏:訪日外国人の熱中症リスクの試算に成功~冷帯気候出身者のリスクは熱帯気候出身者に比べて顕著~」によると、亜寒帯、温帯、熱帯の地域の人を対象に体温上昇の実験を行なった結果、1番亜寒帯の人が体温が上昇しやすいことがわかりました。
これは、汗腺の数が亜寒帯の人は少なく、発汗しにくいためだと考えられます。
…汗をつくる体のしくみを汗腺といい、皮膚にあります。汗腺には小汗腺(エクリン汗腺)と大汗腺(アポクリン汗腺)のふたつがあり、ヒトのエクリン汗腺の総数は約300万個で、ほぼ全身の皮膚に分布しています。単位面積あたりでは手掌や足底に最も多く分布しています。年齢が進むとエクリン汗腺は萎縮して、発汗そのものが減少していきます。 (JCA汗のはなし汗腺とは? より)
また、日本気象協会推進「熱中症ゼロへ」公式サイトによると、亜寒帯に居住している人は他の地域に比べ、熱中症を気にしはじめる温度が高いことがわかりました。
熱中症発症の原因である温度に亜寒帯に住んでいる人は順応していないことがわかります。つまり、亜寒帯に住んでいる人は、他の地域に比べて熱中症になりやすいのです。
また、汗腺の数は幼少期に住んでいた環境によって決まり、冷帯の人は汗腺の数が少なく、発汗しにくいため、注意が必要です。
次に不快指数に注目します。不快指数とは「気温と湿度を用いて蒸し暑さを数量的に表した指数」(日本気象学会)です。
値として
を示します。
下の図は東京、パリ、ロサンゼルス、カイロ、シドニー、サンパウロの不快指数を示したものです。
(ダイキン『第20回現代人の空気感調査』より)
この図から、東京は 6都市の中で 最も不快指数が高く、ほとんどの日で暑くて汗が出る85を超えています。さらに、カイロを除いた他の都市は、ほとんどの日が70〜80の間で、常に過ごしやすい環境にあることがわかります。
これより、日本の夏に比べてこれらの国は過ごしやすく、特にパリ・ロサンゼルス・シドニーと同じような気候は不快指数が低いと考えられます。
上記にもあるように、不快指数は熱中症の原因である「気温・湿度」をもとにした指標です。したがって、不快指数の低い国から来た訪日外国人は熱中症になりやすいと考えられます。
・不快指数の低い国は特に熱中症に注意!