みなとやま水族館様

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 みなとやま水族館は、兵庫県神戸市にある水族館で、2021年にオープンしました。なんといっても廃校を利用しているのが特徴で、子どもたちが環境を近い目線で学べることを コンセプトにしています。実際に伺いましたが、館内にも様々な工夫があり、水槽が低く作ってあり前にクッションが置いてあったりすべての水槽が色々な角度から見れるようになっていたりします。

 今回は、そんなみなとやま水族館の飼育員さんにインタビューをさせていただきました。吹き出し型の見出しが質問内容で下がその返答です。また、使用している写真は直接許可をいただきHPから引用しました。



普段生き物の世話をするときに気をつけていることはありますか。

 これは動物の世話をする仕事の人にとってとても重要なことなのですが、日々の観察です。ちょっとした異変に少しでも早く気づけ対処 すればそれだけトラブルが起こらずにすみます。そのために普段からの観察が大事で、スタッフは鋭い観察眼を持っています。これは生き物だけ でなく機械などもそうです。ポンプの音などもしっかりとチェックしています。私は特に観察が得意というわけではないですが、しっかりとした意識をもって 日々接しています。

 あとは作業、特に大きい作業をした後は指さし確認をするようにしています。小さな手順の間違いがトラブルを引き起こすこともあるのでミスがないように 心がけています。これは生き物に関わらずどの業界でもそうかもしれませんが。



魚に耳はあるのでしょうか、またどうやって音を聞いているのでしょうか。

 魚類の音を感じる器官は基本的には二つあり、内耳と側線と呼ばれるものです。この二つの器官を複合的に使い、音を感じています。



魚は声や音を出しているのですか。また、どうやってコミュニケーションをとっているのですか。

 しています。基本的には、威嚇や防御といった攻撃反応と繁殖時の反応の二種類があります。 私は水族館で繁殖音は聞いたことがないのですが、威嚇や警告の音は時々耳にします。漁師さんのところで 網からあげられたばかりのホウボウなど魚はよく鳴いています。水槽の中だとあまり聴きません。 何か食べてる時の咀嚼音が聞こえることはありますが、コミュニケーションで音はあまり使っていないと思います。

 文献的なことを言うと、特にシログチなどが有名ですが繁殖時期に音を出すようになったり、縄張りを主張するため 音を出したりすることが発見されています。ただ、まだ謎が多く、私も水族館で働いていながらよくわかっていません。



魚は音でストレスを感じているのですか。

 感じていると思います。実際、グッピー長時間騒音を聞くと病気になりやすく寿命が縮まるという研究データもあります。 普通に水族館で飼育していてもやはり、音に対する反応はたくさんあります。



 例えば、扉を閉める音だけで魚がわーっと逃げたり跳ねたりといったこともあります。 また、水槽の大規模な工事があったときに、魚が餌をあまり食べなくなりました。そして、水中は音が伝わりやすく潜水している時なども音がよく聞こえます。 このような経験からも音は魚にもストレスを与えてると感じます。


水槽を掃除や工事するときに魚はどう保管しているのですか。

 バックヤードに運んだり、カゴを浮かべていけすのようにすることが多いです。前に働いていたところでは大きな水槽がドーナツ型だったので、シャッターで区切ってエリアごとに行っていました。 ただ、これは水族館によって異なってくると思います。



水族館に病気を診てくれる専門の人などはいるのですか。

 いないことが多いですね。哺乳類や鳥類が多くいるほんとに大きな水族館では専属の獣医がいて魚も診てくれたりもしますが、ほとんどはいないです。 病院と契約して異常があったときに連れていく体制をとっているところもありますが、そもそも魚類の病気を専門に学んでいる人がほとんどいません。また、わかっていることも少ないです。 食べる魚は一定数研究されていますが観賞用などは本当にごくわずかです。なので、実際に水族館で異常な魚がいたときは、自分たちの経験で最善を尽くしてあげるということが多いです。



騒音の海洋への影響について、なにか知っていますか。

 まずは、鯨類ですよね。ご存知かと思いますがイルカやクジラは魚類よりもはっきりと、音でコミュニケーションをとることがわかっていて繁殖時などにも必要なので、人口音によってかき消されることで 影響がでることは大いに考えられると思います。実際、アカボウクジラというクジラが船舶の音を聞くと急浮上をしてしまうという例もわかっています。 魚類にもコミュニケーションを乱し影響が出る可能性はあると思います。




 そして実はクラゲにも影響があると言われています。高音を聞かせると動きが遅くなり低音を聞かせると速くなることが実験で分かっています。 これが何のためかはわかりませんので周波数により動きを変えることが何かしらのメリットになるという推測しかできません。もしこれがわかれば、人工的な音によって本来の動きが損なわれて しまうということは考えられます。調べてみるともっといろいろな種類の生物と音の関連した研究もでるかもしれませんね。



子供の頃から環境と触れ合うことが将来にどう影響すると思いますか。

 今、水族館などでは環境教育がとても大切という考えが重視されているところではあります。まず小さいころから環境と接することで、 興味を持ったり、自主的に保全活動など行動をするようになると思います。私が個人で思うことは、子どものころに学んだことがその人にとっての 常識を作っていくということです。この子どものころに作った常識を後から変えるのは難しいのかなと思います。

 例えば、昔は魚を逃がすことや 生き物に餌を与えること、動物園でチンパンジーに服を着せることなどが良いこと・楽しいこととされていましたが今では良くないとわかっています。 しかしそれが当たり前と思っていた世代の人だと、今でもなお鳥に餌付けしたり釣った魚を別の場所で放流したりしている人がいます。 生き物が好きな人でもやっている人がいるので、やはり子どものころの経験・受けた影響だと思っています。

 地球全体のために、小さいころから環境を 学び、正しい知識を蓄えることはとても大事だと思います。



人と動物が楽しく共生できる理想の社会には何が必要だと思いますか。
そして私たち一人ひとりにできることはなんだと思いますか。

 難しいですよね。犬や猫と比べてみても、魚にとっての楽しみはとても考えづらいですよね。その動物がどう思っているかなんて私たちにはわかりませんし。 ただ、それでも動物に対してないがしろにせず敬意をもって考えることは大切だと思います。そのために必要なのは、やはり「正しい知識をつける」ことだと思います。 特に生態や習性は動物とかかわるうえで絶対に知っておかなければなりません。餌付けや放流などもその瞬間だけ幸せそうに見えても全体で考えるとよくないことです。 しっかり知識をつけて考えてやれば良い方向にすることもできます。


 そして、飼育する側として大切なのは最後まで責任を持つことです。脱走しないように工夫する、むやみに繁殖させない。これらはとても大事です。また、動物だけでなく 自然環境を守っていくという意味では、ポイ捨てしないなど基本的な環境問題への配慮です。環境問題に関する情報を取り入れ、広げて、より一人一人の関心を高めることもこれにつながります。

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