ヒトの子はヒト?〜親から子に受け継がれるモノ〜


ヒトの子はヒト、パンダの子はパンダ、というのは当たり前のことですね。
それでは、皆さんの顔の特徴などはどうでしょうか?親戚や両親と似ていることが多いと思います。
このように、親から子へ子から孫へと生物としての様々な特徴が伝わること遺伝といいます。
そして、遺伝によって伝わる生物の特徴のこと形質といいます。
ヒトでいうと、目や肌の色、鼻の形やまぶたが一重か二重かなどのことは、遺伝で決まります。
さらに、外見だけではなくヒトの性格や気質にも、遺伝の影響があるといわれています。


「カエルの子はカエル」などのことわざが昔から伝えられてきたことから、科学が発達していなかった時代でも、
多くの人々は子供の性格や容姿といったものが両親や親戚と似ていることに気付いていました。
ですが、いったい何が親から子に伝わるのかはわかっていなかったので、漠然と親の「血」が子供に受け継がれていると長い間信じられていました。
現在でも使われいますが、「血縁」や「血のつながり」といった言葉は親子関係や兄弟関係を表すのに使われました。
東洋でも西洋でも「血」を表す単語には「血縁」の意味を含んでいるため、
世界中で「血液が、親から子に姿かたちや性格を伝えるもの」と信じられていたと考えられます。

しかし科学が発展すると、血液は親から子へと受け渡されるものではないことが明らかになりました。
胎児の血液は、母親からもらうのではなく胎児自身が作り出すものであり、各々の血液は決して混ざり合うことはないのです。
母体と胎児の間では、酸素・二酸化炭素・老廃物・栄養分などをやりとりするだけです。



遺伝子」が伝わるからこそ、親と子供は似通います。世界各地でも昔から遺伝の現象が知られていましたが、
遺伝子がどのような化学物質であるかなどしくみは、長い間解明されなかったのです。


    遺伝が関係する―ことわざ―
「カエルの子はカエル」(日本語)
「トンビがタカを産む」(日本語)
「ウリの蔓にナスビはならぬ」(日本語)
「Like father, like son.(父は父なり、息子も息子なり)」(英語)
「An den Fruchten erkennt man den Baum.(実を見て樹を見る)」(ドイツ語)
「De casta le wiene al galgo el ser rabilargo.(グレイハウンド犬は血統によって尾が長い)」(スペイン語)



第一章