体細胞クローンと受精卵クローン
クローン羊ドリー
スコットランドのロスリン研究所の
イアン・ウィルムット博士と
キース・キャンベル博士らの研究グループが、
1997年に「イギリスで1匹の体細胞クローンの羊が生まれた」と発表しました。
その羊は「
乳腺細胞」から生まれたので、アメリカのグラマー歌手ドリー・パートンにちなんで「
ドリー」と名付けられました。
ドリーには父親がいないのに対し、
母親が3頭もいます。
つまり、
体細胞(乳腺細胞)の核を提供した母親・卵子を提供した母親・子宮を貸した母親の3頭です。
こんなに母親がいたら、
本当の親がわからないんじゃないの?と思う方もいると思いますが、
実際は見た目で直ぐにわかってしまったのです。
ドリーは、卵子を提供した母親・子宮を貸した母親のどちらにも似ていませんでしたが、乳腺細胞を提供した母親にそっくりだったのです。
したがって、
哺乳類で世界初の成功した体細胞クローンが
ドリーなのです。
ドリー誕生から1年以上たっても追試の成功例が報告されていなかったため、ドリーは本当に体細胞クローンなのか
という疑問の声も上がり、
第二のイルメンゼー事件ではないかと言われたりもしました。
しかし、乳腺細胞を提供した母親の組織に含まれている遺伝子の配列とドリーの遺伝子配列とを、
複数グループが比較したところ、ドリーが本物の体細胞クローンであることが証明されました。
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