細胞同士というのは普通、細胞膜で隔てられているため、互いにくっつかないようになっています。
しかし、「
細胞融合」という
異なる細胞同士をくっつけることによって1つの細胞にする方法が考案されました。
例えば、電気刺激による方法で融合させようなどさまざまです。
そして、これを応用した画期的な技術こそが「
モノクローナル抗体(ただ一種類だけの抗体)」をつくる技術です。
動物細胞の場合
生物は、体内に
抗原と呼ばれるウイルスなどの異物が進入したとき、
白血球の一種であるB細胞が
抗体と呼ばれるタンパク質を作り出します。
そして、抗体は抗原に結合し、抗原の働きを失わせます。
しかし、医療において重要な抗体の研究は、
@1つの抗原に対して複数の抗体が作られる
A抗体を作るB細胞がほとんど増殖をしない
この2つのことから、大量に一種類の抗体だけを入手することができなかったため研究は捗らなかったのです。
そこで考えられたのが、マウスのB細胞とミエローマ(骨髄腫)細胞とを融合させ、
ハイブリドーマ(雑種の癌細胞)を作る技術です。
ハイブリドーマは、
ただ一種類の抗体を作り、そして無限に増殖できるという癌細胞の特徴をもっているため、
モノクローナル抗体を大量に作ることが可能になりました。
← 第二章 →