アメリカ
創造力と技術力をつなぐSTEAM教育国家
アメリカでは、もともとSTEM(科学・技術・工学・数学)教育が国家戦略として強く推進されてきました。特に2000年代には、オバマ政権がSTEM教育を教育政策の柱に据え、全国的に強化したことがよく知られています。
その後、教育者の Georgette Yakman(ヤックマン)氏 が、STEMに「A(Arts=芸術・教養)」を加えた STEAM教育モデル を2006〜2008年ごろに提案しました。これにより、技術力だけでなく、創造性やリベラルアーツ的思考を統合した教育枠組みが生まれました。
アメリカのSTEAM教育では、「A=Arts」を美術に限定せず、リベラルアーツ全体を含む広い概念として捉えています。そのため、デザイン思考やプロジェクト型学習(PBL)など、創造性と技術を融合した学びが積極的に取り入れられています。
背景には
・創造産業の強さ
アメリカはIT、映画、アニメーション、ゲームなどの創造産業が非常に発展しています。ハリウッド映画、ディズニー・ピクサーの3Dアニメーション、UnityやUnreal Engineを使ったゲーム開発などは、技術力 × 創造力 の両方が求められる分野です。こうした産業構造が、STEAM教育の必要性を後押ししています。
・シリコンバレーのスタートアップ文化
Google、Apple、Metaなどを生んだシリコンバレーには、
・失敗を恐れず挑戦する文化
・異なる専門性を持つ人材が協働する文化
・新しい価値を生み出す文化
が根付いています。この価値観が教育にも影響し、デザイン思考やPBLが広く導入されています。
・子どもの個性を尊重する教育風土
アメリカでは、子どもの個性や主体性を尊重する教育文化があります。
ディスカッション中心の授業や、自分でテーマを選ぶプロジェクト学習が一般的で、表現の機会も豊富です。
こうした土壌が、STEAM教育を自然に受け入れる基盤となっています。
アメリカのSTEAM教育の特徴
アメリカのSTEAM教育は、技術と創造性を掛け合わせて新しい価値を生み出す姿勢が特徴です。ロボット・AI・プログラミングなどの技術分野と、ダンス・映像制作・デザインなどの芸術分野を組み合わせた学びが広く行われています。
代表的な学習例
アメリカのSTEAM教育では、「創造性 × 技術力」を実践的に結びつける学習が重視されています。代表的な学習例としては以下の3つがあります。
・メイカースペース活動
3Dプリンターやレーザーカッターを使い、子どもたちが自分のアイデアを形にする場。試行錯誤を通じて創造性を育てます。
・プロジェクト型学習(PBL: Project-Based Learning)
現実社会の課題をテーマに、長期プロジェクトを実施。課題設定 → 調査 → 制作 → 発表までのプロセスで、技術と創造的思考を統合的に学びます。
・ロボティクス教育
FIRST Robotics などの全国大会に参加し、チームでロボットを設計・製作・競技。数学・物理・プログラミングに加え、チームワークや創造的問題解決力も育まれます。
まとめ
アメリカの教育現場では、技術力だけでなく創造性を掛け算的に活かす学び が体系的に取り入れられています。STEAM教育の理念が日常の学習活動に深く根づいており、「創造性 × 技術力」 を重視する教育文化が形成されています。