10代の投票率が高いわけ

投票率を見てみると10代のほうが20代の投票率を上回っています。
20代は21歳〜29歳の幅広い年齢の人々を含んでいるのに対し、10代には18歳と19歳の人々しか含まれていません。
なぜ10代の投票率は高いのでしょうか?



高校で選挙・政治を身近に感じられる機会があるから


総務省の「18歳選挙権に関する意識調査の概要」
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高校で選挙・政治に関する授業を受けたばかりの10代はそれらについて 学校で学んだばかりのため選挙の重要性や実際にやってみたいという好奇心から選挙に行く割合が高くなると考えられます。
投票率向上のためには子供だけでなく一般人に対しても選挙についての理解を深める機会が必要だと言えます。



自分の親が選挙に行く習慣を見習っている


総務省の「18歳選挙権に関する意識調査の概要」
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子供の頃から親が行く選挙についていった人は投票に行く習慣がついているので自分が選挙権を持った際も選挙に行くようになります。
親の投票行動は10代の投票率を大きく左右することがわかります。
若者の投票率向上に関しては、両親の投票率向上についても同時に啓発運動が必要になるといえます。



同居している親から行くように勧められる


総務省の「18歳選挙権に関する意識調査の概要」
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親と同居する事で投票を促す親から受ける義務感があると考えられます。

ちなみに、

総務省の「18歳選挙権に関する意識調査の概要」
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10代は親の投票の習慣を見習ったり、親に促されることで投票率が高いということがわかります。しかし20代になると投票率は下がってしまいます。
これは若者たちが投票に対する確固たる義務感がなく、親元を離れるにしたがって親の影響を受けなくなり、投票にいかなくなるようになる傾向を示しています。
そしてそれらの若年層が年を経て親世代となり、投票を義務と考えなくなる事で投票率が低下し、その結果次の世代の若年層の投票率低下につながることになります。 このサイクルが繰り返され悪循環となっているのが若年層の投票率が低下している真の原因であると考えられます。


コロナ禍で政治の重要性を実感した人が多かった

高校生や大学生はまだ一人前の大人ほど収入が安定していないため、若者たちにはコロナウイルスの打撃は大きかったのではないでしょうか。


主権者教育の質的改善が見られた

2016年の18歳選挙権導入当初の主権者教育は、政治的中立性との付き合いが難しく、教育委員会や政治家が問題視した事例も散見されたため、
その後はなるべく当たり障りのない内容(架空の政党など)を扱う学校が多かったですが、 今回は、本物の政党・政治家を扱った事例も多く見られ、実効性の高い主権者教育になりつつあります。
またSDGs教育も社会課題に関心を持つ若い世代の増加を促しています。

国際連合広報センターより引用


投票以外の形で政治参加している若者が増えたこと

オンライン署名サイト「change.org」の署名活動の数はコロナ禍の前の2.5倍になり、校則問題や痴漢対策など、10代の署名立ち上げが目立ちます。
また日本若者協議会(日本の政治団体・学生団体。政策決定の場に若年層の意⾒を反映させ、 若者及び将来世代が⽣きやすい社会の実現に資することを⽬的に活動している)でも、個人会員は700名を超え(団体会員は64団体)、 1日1人以上は新規会員が増え続けています。
他にも当時15歳のグレタ・トゥーンベリ(現18歳)さんが始めた気候変動対策を求める運動が日本でも広がっていて、世界中の同世代に大きな影響を与えています。
有権者の若者が200万人以上いることを考えるとこうした活動に参加している若者はごくわずかですが友人や知人がこのような活動に参加していると 自然と政治に触れる機会が増えるためこれからも投票率が上がることが予想されます。



まとめ

子ども期の投票義務感の増大、投票意欲の増大という政治的社会化の過程においては、学校における 投票の価値の伝達が重要な役割を果たしていると考えられます。
また家庭による社会化については、投票意欲と内的政治的有効性感覚のいずれにおいても、母親の態度と子どもの態度には関連があることがわかり、 18歳、19歳の若者は親と同居している割合が大きいため親の影響を受けやすいといえます。
また国内だけでなく世界規模の問題において若者が政治を考える機会が増えていると考えられます。



参考文献

・スマート選挙ブログ「若者が選挙に行かない理由とは?」 https://blog.smartsenkyo.com/3866/#toc2
・タウンニュース「選挙投票率」 https://www.townnews.co.jp/0106/2022/06/23/630581.html
・総務省HP「18歳選挙権における意識調査の概要」 https://www.soumu.go.jp/main_content/000456090.pdf
・YAHOO ニュース「今後の若者の投票率は右肩上がりになるのではないかという希望と懸念」 https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/bc70abb32872bf31fa404640e176f7b40f545a08
・YAHOO ニュース「なぜ山形県の10代投票率は全国首位なのか?【衆議院議員選挙】」 https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/00f41283926a5364b1583c46f5c03c880c2110e9