私たち国民の代表として、政治を担っていく人を選ぶための選挙ですが、そんな選挙にも問題があります。
一体、どんな問題があるのでしょうか。
投票率とは有権者総数に対する投票者の割合のことを指します。
実際に衆議院議員選挙における年代別投票率では10代が43.21%、20代が36.50%、30代が47.12%、
そして参議院議員選挙においては、10代が35.42%、20代が33.99%、30代が44.80%と、若年層の投票率が極端に低いことを示しています。
これでは少子高齢化社会が進む中、若年層が抱える問題や意見が政治に反映されにくい状況が起きてしまいます。
総務省「衆議院議員総選挙における年代別投票率の推移」「参議院議員通常選挙における年代別投票率の推移」を参考に、メンバーが作成
上のグラフをよくみると、10代の投票率の方が20代の投票率を上回っていることがわかります。
20代は21歳〜29歳の幅広い年齢の人々を含んでいるのに対し、10代には18歳と19歳の人々しか含まれていません。
一体、なぜ10代の投票率は高いのでしょうか?
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若者の政治離れの背景には「投票所に行くのが面倒」、「選挙に関心がない」 「自分のような政治が分からない人間は投票しない方がいい」という理由のほか、 「選挙で政治は変わらない」、「自分が投票したところで何も良くならない」といった意見が挙げられています。
このまま若年層の投票率が下がり続ければ、『有権者=若者以外』の構図ができ、投票率の高い高齢層優先の政策を招いてしまいます。
例えば高齢者の有権者が医療・福祉の充実を求めれば、その政策を推進する議員が当選しますが、その費用はすべて働く世代の税金から支出され、
重税や若者への支援の減少により、さらに若者の政治不信をあおり、投票率が低下するという負のスパイラルが出来てしまうといったことが起こり得るのです。
政府もこの事態に危機感を示しており、若者への政治参加を呼びかけています。
投票所は主に学校や自治体施設が使用されますが、駅やショッピングモールなど日常生活に近い場所に投票所を設置すれば 「投票所に行くのが面倒」「選挙に行く時間がない」などの理由を解消することができます。
不在者投票制度は、仕事や旅行など、選挙期間中に名簿登録地以外の市区町村に滞在している場合に滞在先の市区町村で投票ができる制度のことです。
そのため「住民票を移してないから投票できない」という問題も解決することができます。
ただし、手続きの複雑さや時間がかかることで、時間のない大学生や社会人に受け入れられず、いまだに利用者数が少ない現状があります。
選挙の運営に若年層を取り込むことで、より選挙が身近なものになります。
若者に受け身になってもらうのではなく、選挙の主体になってもらうことが若者の投票率を挙げる上で重要です。
インターネットを使った選挙活動は、若者の選挙への関心を高める有効策のひとつです。
最も身近なスマホ・パソコンで選挙活動を行えば自然と選挙に触れる機会も高めることができます。
実際に投票率減少への対策により、若者の投票率が高くなった山形県の例を紹介していきます。
2017年の衆議院議員選挙では10代の投票率が全国トップの47.24%を記録しています。
(図はメンバーが作成)
①県の審議会に「若者枠」設置
行政において具体的な施策を議論する全ての審議会等に若者委員(20-30代)を1名以上登用することを目標としていて、
積極的に若者の意見を行政に反映させています。
②少年議会に子供代表を選出
18年間続いている「少年議会」は、遊佐町在住・在学の中学生と高校生で構成され、
遊佐町の若者の代表として「中学生・高校生の政策」を議論し決めていく仕組みになっています。
子ども議会(小学校等の児童や中学校、高等学校等の生徒を対象にして行なわれる地方公共団体の模擬議会)自体はそこまで珍しくありません。
しかし顕著に10代の投票率が高い山形県では、実際の選挙を通じて投票を行ったり実効性を伴った取り組みをしており、これらは実際に街の政策に反映され、
政策実現のために予算(45万円)も用意されています。
・総務省「国政選挙における年代別投票率」
https://www.youthvotehiroshima.com/knowledge_vote/gap-of-1votes/
・政治ドットコム「若者の投票率が低い理由と対策について」
https://say-g.com/voting-rate-1454
・政治学委員会政治過程文化会「各種選挙における投票率低下への対応策」
https://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/kanji/pdf22/siryo198-5-3.pdf