治療法① 精神科:精神医療方法
対等で自然な会話の中で、症状を把握して治療法を勧めていく治療法のことです。カウンセリングというと聞いたことがあるかと思います。
カウンセリング
カウンセリングとは専門の技術を持つカウンセラーと相談者との対話を通じて、相談者の困っていることなどの自己解決を援助することです。カウンセラーとの会話を通じて相談者が自分が抱えている問題に対して何か気づいたり、自己理解を深め行動を変えていく手助けをするというのが目的となります。効果としては、自己肯定感の向上や心が軽くなるなどの自発的な変化があります。
しかし、このカウンセリングは主治医が治療上必要と考えた場合に限り適応されます。
薬物療法
従来の錠剤やカプセル剤だけでなく、液剤や徐放剤(成分の放出が遅いタイプ、服用回数を減らせる)、長期持続型注射剤などによる服薬型の治療法のことです。
薬物療法は様々な精神症状の軽減、消失を起こすことができます。主に、迎うつ状態、躁状態、焦燥感、不安感、不眠、幻覚、妄想などの症状の改善が期待されます。
薬物の種類
・選択的セトロニン再取り込み阻害薬 (うつ病、パニック症、恐怖症、不安症など)
・セロトニンノルアドレナリン再取り込み阻害薬(うつ病、パニック症、恐怖症、不安症など)
・ノルアドレナリン−ドパミン再取り込み阻害薬 (うつ病、パニック症、恐怖症、不安症など)
・三環系抗うつ薬 (特定の痛み)
・抗精神病薬 (統合失症などの精神病性障害)
→主に統合失調症など幻覚、妄想、意欲低下などの改善が期待される
・抗不安剤 (パニック症、不安症などの不安症)
→不安や恐怖といった感情を小さくする
・抗うつ薬
→主にうつ病や強迫性障害、社交不安障害などの治療に用いられ、抑うつ(気分が落ち込むなど)の症状が改善される
・睡眠薬
→興奮状態の脳を鎮め、気持ちを落ち着かせることで眠気を起こす
・気分安定剤 (双極性障害)
→主に躁うつ病や躁病などの治療に用いられ、通常では起こらない気分の高揚を抑える
修正型電気けいれん療法
修正型電気けいれん療法とは、全身麻酔薬と筋弛緩薬を使用して、眠られたあと前頭部に電極を当て脳に数秒間電気刺激を与える療法です。
重度のうつ病、躁状態などを患っている方や薬物療法で治療作用が見られない、薬の副作用が強く薬物療法が難しい方などを対象者にしています。
また、修正型電気けいれん療法は死亡率が数万回に1回程度と安全性にも長けていて、主に統合失調症、うつ病に適応しています。
○副作用
血圧上昇や不整脈などの症状は術後数分でなくなります。また、記憶障害や物忘れなども多くの人に見られますが、こちらも数時間〜数日で治ることがほとんどです。
軽い頭痛などの症状も適切な治療を行うことで改善します。
治療法② 心理、社会的治療
上記の療法が終わった際に失われた機能を回復する治療法です。社会復帰が主な目的です。
主に精神療法やリハビリーテーションなどが行われ、統合失調症の治療の一つとしても行われています。
療法の種類
・家族療法
→精神医療と類似しています。ご家族と患者との理解不足による誤解の解消を目的として行う治療法です。
本人が抱えている悩みや症状を本人だけの問題とせず、家族全体の問題として扱い、話し合いなどをして理解を深めていきます。
・行動療法
→行動上の問題に着目し、どのような行動をしたら適当なのか考えて実行してみることで問題を少しずつ解消していく療法です。
・認知療法
→偏った認知に焦点を当てて、柔軟な考え方ができるよう徐々に修正していく療法です。
認知行動療法
→初め認知療法と行動療法はそれぞれ別々に発展していましたが、お互い関係している事がわかってきたため1980年代頃になるとそれらが合わさって「認知行動療法」と呼ばれることが多くなりました。
主に認知と行動を働きかけ、考え方などを整えストレスを減らしていきます。うつ病や統合失調症など様々な精神疾患で扱われます。
・対人関係療法
→その人との関係が自分の精神の安定に大きな影響を与える人を確認し、認識して対処法などを導き出していきます。
・精神分析
→トラウマなど心のなかで抑圧されていた感情や記憶などを意識して受け入れ理解していくことで精神疾患を治療していきます。
・精神力動的精神医療法
→思考、感情行動における無意識パターンを認識することです。
・支持的精神療法
→悩んでいるつらさや苦しみ、不安に対して医師が話を聞き、専門家の立場でアドバイスをしたり、手助けをしてもらう治療法です。
カウンセリングの一種であり、話を聞いてもらうことによって安心感が得られます。
自律訓練法
自己催眠により、意識的にリラックスできる状態を作り、乱れていた自律神経のバランスを回復させる基本的な治療法です。
自律訓練法は基本的には医師の指導のもとで行います。そのため、自律訓練法を望む場合、医師からの診察を受ける必要があります。
○自律訓練法を行う準備
・思考が乱れないようトイレなどは済ませておく
・時計やメガネなどは外し、きついベルトなどは緩めておく
・雑音の少ない落ち着ける場所をつくる
○やり方
軽く目を閉じた状態で、心のなかで決まった言語(言語公式)を繰り返し唱えます。
背景公式 気持ちが落ち着いている
第1公式 右腕が重い→左腕が重い→両腕が重い
第2公式 右手が温かい→左手が温かい→両足が温かい
第3公式 心臓が規則正しく打っている
第4公式 楽に息をしている
第5公式 お腹が温かい
第6公式 額が心地よく涼しい
以上の言語公式があり、多くの人が第2公式までを行って効果を実感しています。
時間は1回3〜5分で毎日2〜3回行います。行う際には必ず最後に、両手を上げて大きく伸びをするなどの「消去動作」を行って催眠状態から醒めてください。
自律訓練法の主な効果としては精神や身体の活動の安定がありますが、その他にも
・向上心の増加や疲労の回復
・精神的苦痛や身体の痛みの緩和
・衝撃的行動の減少
などがあります。
相談場所
・保健所、保健センター:心の健康に対する相談などができます。
・精神保険福祉センター:精神科医療についての相談ができます。
・いのちの電話:匿名で悩みを相談できます。
・精神科訪問看護:治療にあたり、様々なサポートをします。