住宅への活用
提供:セレンディクス
▲3Dプリンター住宅「Sphere」
提供:CLOUDS Architecture Office
▲3Dプリンター住宅「Sphere」
提供:慶應義塾大学KGRI環デザイン&デジタルマニュファクチャリング創造センター 益山詠夢
▲3Dプリンター住宅「フジツボ モデル」
提供:慶應義塾大学KGRI環デザイン&デジタルマニュファクチャリング創造センター 益山詠夢
▲「フジツボ モデル」 の間取り
3Dプリンター住宅を研究・開発しているセレンディクスに、オンラインで取材を行いました。(実施日:2022年8月9日)
撮影場所:メンバーの自宅
▲取材の様子
「住宅×3Dプリンター」について以下の7つの質問をしました。
Q.1
どういったプロジェクトに取り組まれていますか。
A.1
私たちは、24時間で300万円程度で提供できる、3Dプリンターで作る家、「Sphere」を開発しています。
▲実際に「Sphere」が作られている様子 提供:セレンディクス
動画の様子から、稼働式のノズルフィラメント(樹脂)を押し出し、ステージに印刷する部品のこと。で階層状に素材を重ねていき、製作しているのがわかります。
Q.2
このようなプロジェクトに取り組もうと思ったきっかけを教えてください。
A.2
CEOの小間とCOOの飯田の間で、「世界最先端の家を作る」という覚書締結のもとプロジェクトを推進しました。
発端は、車を買い換えられる金額で家を提供し、住宅ローンをなくすことで、誰もがもっと自由に生きていける世の中にしたいと考えたことです。
Q.3
Sphereの形に球体が適していると拝見したのですが、他の形との違いとしては、どういったことがありましたか?
A.3
球体にすることによって、壁同士がお互いに支え合う物理的に最強の家の構造を取ることができます。また、Sphereは、地面から天井までを一体で出力することを目指します。一体で出力することによって、配筋等の作業にかかる人件費を抑えることができ、300万円で家を提供することを可能にします。そういった点が球体である強みです。
提供:セレンディクス
▲「Sphere」の製作中の様子
提供:セレンディクス
▲「Sphere」の完成写真
Q.4
Sphereの最も強みとしている点はなんですか。
A.4
やはり、「挑戦性」だと思います。
3Dプリンターの住宅は基本、直方体のケースが多いですが、3Dプリンターの出力最大可能角度(オーバーハング造形物において、支えがなく宙に浮いた部分のこと。印刷する際には、の間に印刷するサポート材。が必要。)を最大限、活用した球体の住宅は世界初の試みですので、そういったところでの「挑戦性」は、誇るべき点だと自負しております。
Q.5
現状抱えている問題点には、どのようなものがありますか。
A.5
やはり、オーバーハング造形物において、支えがなく宙に浮いた部分のこと。印刷する際には、の間に印刷するサポート材。が必要。の問題だと思います。
出力している最中に落下する可能性が大いにあるので、落下をする前に硬化させ、「最大限出せる角度は何度なのか」と追求する点が、非常にチャレンジングだと思っております。
Q.6
将来、どんな能力が必要とされると考えていますか。
A.6
私たちがこのプロジェクトを始める際に、日本には、3Dプリンターの家のデータを作れる人材がいないということに気づきました。また、海外には、そういった人材がいるので、そういった海外の研究者の方々にノウハウを伝授していただいて、日本語にまとめ、修得できる体制をつくっていくことが重要であると考えています。そういった建築用3Dプリンターデータの知識を活用できる人材が求められていると思います。
Q.7
最終的な理想の形としてはどのようなモノを想像していますか。
A.7
1個の新築住宅を買おうとすると2000~3000万円がかかります。
しかし、「Sphere」ですと、300万円ほどですので、300万円となると車と値段は変わらず、一部の方ですと、一括で買うことも可能な金額であると想定しております。そうなった場合、購入された方が払う金額は5年ほどのローンになり、基本的な住宅ローン"30年"と比較し、25年分空きます。
その住宅ローンの苦しみから解放された生活を人々が送れるようにすることが、理想像と考えています。