粉末固着方式
粉末固着方式は、インクジェット方式インクジェットヘッドから噴射した樹脂を紫外線で固めながら積層していく方式のこと。に分類されることもあり、敷き詰められた粉末材料の上にヘッドから接着剤バインダー、または、結合剤とも言う。粉末固着方式では、層状の粉末にこの接着剤を印刷していくことで、粉末を結合(硬化)して断面を形成する。(バインダー)を吐出し、固めていく方式です。このページでは、粉末固着方式の特徴や仕組みについて詳しく解説します。
粉末固着方式の基本情報をまとめました。
ISO規格の名称 | 結合剤噴射法 |
---|---|
別名 | Binder Jetting,BJP |
プリンター価格 | 高い |
印刷精度 | 普通 |
粉末固着方式では、以下の流れで立体物を造形しています。
素材となる粉末(主に石膏)が保管されたタンクと、実際に印刷が行われるステージ3Dプリンターにおいて、造形物が印刷される土台のこと。プラットフォームやテーブルともいう。が、同一平面上に並んでいます。
撮影場所:3Dソリューションセンター
▲印刷が行われるステージ3Dプリンターにおいて、造形物が印刷される土台のこと。プラットフォームやテーブルともいう。(タンクは写真溝奥)
平面に沿って設置されたワイパー状の機構によって、タンクに保管された粉末が、印刷が行われるステージ3Dプリンターにおいて、造形物が印刷される土台のこと。プラットフォームやテーブルともいう。へと平行移動され、薄い層を形成します。
メンバー制作
▲ワイパーの軌道
ステージ3Dプリンターにおいて、造形物が印刷される土台のこと。プラットフォームやテーブルともいう。にセットされた粉末に、ステージ3Dプリンターにおいて、造形物が印刷される土台のこと。プラットフォームやテーブルともいう。とヘッドの相対位置を変化させながら接着剤バインダー、または、結合剤とも言う。粉末固着方式では、層状の粉末にこの接着剤を印刷していくことで、粉末を結合(硬化)して断面を形成する。を噴射していくことで、断面形状を作成します。噴射された接着剤バインダー、または、結合剤とも言う。粉末固着方式では、層状の粉末にこの接着剤を印刷していくことで、粉末を結合(硬化)して断面を形成する。は即座に乾燥し、粉末同士を接着・結合します。いわば、粉末焼結方式平らに敷き詰めた粉末に対して、レーザービームや電子ビームを照射することで、断面形状を溶融・結合させる方式のこと。とインクジェット方式インクジェットヘッドから噴射した樹脂を紫外線で固めながら積層していく方式のこと。の性質を併せ持った印刷方式です。
メンバー制作
▲粉末固着方式の仕組み
結合された断面は、周りの粉末と共に一層分下降し、その上に新たな粉末が層状に補給されます。そして再び接着剤バインダー、または、結合剤とも言う。粉末固着方式では、層状の粉末にこの接着剤を印刷していくことで、粉末を結合(硬化)して断面を形成する。を噴射することで、粉末を接着・結合します。
この工程を繰り返し、断面を積み重ねていくことで、立体が造形されていきます。
撮影場所:3Dソリューションセンター
▲実際の印刷物
ちなみに、結合されず余った粉末が印刷物下部に溜まるため、わざわざサポート材造形中、押し出されたフィラメントが浮遊するのを防ぐため、中空部分(オーバーハング)とステージの間に印刷する支柱。を印刷する必要がありません。
以上、粉末固着方式の仕組みでした。
粉末固着方式の造形物は、石膏で出来ているため強度が非常に弱いです。そのため、粉末焼結方式平らに敷き詰めた粉末に対して、レーザービームや電子ビームを照射することで、断面形状を溶融・結合させる方式のこと。同様の粉末除去操作をした後、仕上げに硬化用の液体を塗る必要があります。
粉末固着方式の特徴を紹介します。
結合されなかった粉末が、印刷物下部に溜まるため、わざわざサポート材造形中、押し出されたフィラメントが浮遊するのを防ぐため、中空部分(オーバーハング)とステージの間に印刷する支柱。を印刷する必要がありません。そのため、より複雑で高精度な造形物を印刷できます。
メンバー制作
▲サポート材造形中、押し出されたフィラメントが浮遊するのを防ぐため、中空部分(オーバーハング)とステージの間に印刷する支柱。が必要ない理由
ほとんどの機種では、接着剤バインダー、または、結合剤とも言う。粉末固着方式では、層状の粉末にこの接着剤を印刷していくことで、粉末を結合(硬化)して断面を形成する。に色を付けることで、フルカラーの造形物を印刷できます。
撮影場所:3Dソリューションセンター
▲フルカラー印刷した造形物
プリンター本体の価格は高価ですが、印刷に使用される材料が粉末の石膏であるため、材料コストが安いことが特徴です。
接着剤バインダー、または、結合剤とも言う。粉末固着方式では、層状の粉末にこの接着剤を印刷していくことで、粉末を結合(硬化)して断面を形成する。を噴射して造形するため、他の方式と比べて印刷速度が速く、直ぐに立体を造形出来ます。
値段が500万円を超えるものが多く、個人で購入するには高価な印象です。企業用・団体用と考えて問題ないでしょう。
造形物に付着した粉末を除去するため、「粉末除去・再利用ユニット粉末焼結方式や粉末固着方式の3Dプリンターにおいて、印刷完了後、付着した余分な粉末を除去&再利用する装置のこと。」が別途必要です。また、舞い上がった粉塵を除去するための吸引機や集塵機空気中の塵を集める装置のこと。も必要になります。こういった点から、粉末固着方式では環境の整備が導入の壁となっています。
撮影場所:3Dソリューションセンター
粉末除去・再利用ユニット(写真は本体と一体型)
提供:3Dソリューションセンター
吸引機
粉末除去・再利用の詳細は、以下のページからご覧ください。
粉末(石膏)を結合させて造形するため、表面が粉状にザラザラになり、滑らかな質感を再現するのが困難です。
粉末の材料(石膏)を、接着剤バインダー、または、結合剤とも言う。粉末固着方式では、層状の粉末にこの接着剤を印刷していくことで、粉末を結合(硬化)して断面を形成する。で固めているだけなので、衝撃に弱く壊れやすいというデメリットがあります。
粉末固着方式の3Dプリンターは、値段が500万円を超えるものが多く、家庭用としては高価な印象です。
強度が弱く、最終製品試作品やサンプルではなく、実際に消費者に販売される製品のこと。機能性・耐久性が求められる。試作品やサンプルではなく、実際に消費者に販売される製品のこと。機能性・耐久性が求められる。製造には向いていませんが、"印刷速度が速い" "材料コストが安い"等の観点から、試作品印刷用としての利用が期待できます。
以上、粉末固着方式の特徴でした。
粉末固着方式のプリンターや、それらの印刷物の写真を紹介します。
粉末固着方式の3Dプリンター
提供:3Dソリューションセンター
印刷が行われるステージ
撮影場所:3Dソリューションセンター
実際の印刷物1
撮影場所:3Dソリューションセンター
実際の印刷物2
撮影場所:3Dソリューションセンター
粉末除去・再利用ユニット
撮影場所:3Dソリューションセンター
吸引機
提供:3Dソリューションセンター