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ES細胞

幹細胞についてはご理解いただけたでしょうか?
続いてES細胞について説明していきます。

ES細胞の作成

受精卵は発生の過程で卵割を繰り返し次第に赤ちゃんへと姿を変えて行くわけですが、
受精卵→2細胞期→4細胞期→8細胞期→16細胞期→桑実胚期→胚盤胞期
という過程で卵割が進んでいきます。

一般的に分化の開始は桑実胚期〜胚盤胞期の間だと言われています。
※しかし分化の開始には諸説あり確証は得られていません。

この最初の分化の時点で、将来、胎盤などの胎児の成長を助ける組織をつくる細胞(栄養外胚葉)と将来胎児の体や内蔵をつくる細胞(内部細胞塊)に分かれます。
この内部細胞塊を体外へ取り出して培養したのがES細胞です。

分化の性質

内部細胞塊から胎児ができるわけですから、この細胞は人間の体のすべての細胞へ分化することができます。

しかし、以前にも述べたように分化は一方通行です。すでに内部細胞塊へ分化してしまったこの細胞は栄養外胚葉には分化できず、必然的に胎盤を形成することができないため、ES細胞単体で新たに生命を作り出すことはできないことになります。

このように様々な組織に分化することはできても、それ一つでは完全な個体を作り上げることのできない能力のことを全能性に対して「多能性」といいます。
※ES細胞を全能性とする説もありますが、ここでは多能性を持つものとします。

ES細胞の培養とそれを用いた医療技術

ES細胞を作るためには内部細胞塊を体外で培養するのですが、培養の際「フィーダー細胞」と呼ばれる細胞が用いられます。

内部細胞塊は多能性を持つので何の処理もせずに培養してしまうと、テラトーマとなりES細胞を作ることができなくなりますが、フィーダー細胞には細胞の成長を制御する働きがあるためテラトーマを作らずに細胞を増殖させることができます。

ES細胞に遺伝子操作を加えた後桑実胚期や胚盤胞期の胚に戻すことで、体の一部がES細胞に由来する細胞で構成された動物が生まれてきます。
このようにして作られた遺伝子改変動物のことを「キメラ動物」といいます。

こうやって産まれたキメラ動物のメスとオスが、遺伝子改変を加えたES細胞由来の卵と精子を持っているとすると、これらの動物を交配させることで、全身の細胞が遺伝子改変された動物を得ることができます。

人の遺伝子とマウスの遺伝子は異なっているのですが、この遺伝子組み換え技術を用いて人に近い遺伝子を持つマウスを作成することで病気や薬の研究に役立っています。


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