ES細胞は内部細胞塊を用いて作られるため、本来であれば人間に成長できたはずの命の芽を摘み取ってしまうという倫理的な問題があります。
通常ES細胞の原料は不妊治療などで採取され、不必要となり本来なら廃棄されてしまうはずの受精卵なのですが、いくら廃棄されるとはいえ、受精卵を破壊して作られるES細胞に対して、受精卵の人権を無視するものだという考え方もあり、国によっては、予算を打ち切られたり、研究そのものが禁止されES細胞の研究を断念せざるを得ない状況に陥りました。
事実、アメリカでは2001年に、倫理的問題からES細胞の研究に対して国から研究費を出費しないなどの政策がとられました。
また、ES細胞の研究には大量の受精卵が必要となるため、韓国では卵子を得るために卵子の売買が行われたり共同研究者の女性から卵子提供が行われるなどの問題が起こりました。
ES細胞が抱えている問題は倫理面の問題だけではありません。
内部細胞塊から作られるES細胞は、移植患者とは遺伝子が異なるため拒絶反応が起こるという医療面でのリスクも抱えているのです。
そのため現在では倫理的問題、医療面でのリスクどちらも克服することができる新たな可能性としてiPS細胞の研究が進められています。
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