「例えば、治療法が確立されていない病気が宣告されたらどうしますか?」
遺伝子診断によって、今現在技術的に治る見込みのない病気が、将来発症するとわかってしまうことがあります。
医療という分野が完璧でないため、必然的にこのようなことが起こりえます。
こういった病気を被診断者に告知することでどのような影響を及ぼすか、というのが問題となります。
当然、被診断者には精神的動揺が走るでしょう。
実際に治る見込みのない告知を受けたことによって自殺してしまった例もあります。
ここで重要になってくるのは被診断者の「知る権利」と「知らされない権利」です。
知る。知らない。どちらの選択をするにせよ、被診断者にその権利が確保されなければなりません。
この問題は医者だけではなく私たちがよく考えなければならない問題です。
以前は、医療という分野は医師に全て任せるべきという考え方で、患者の意見や考えが医療に反映しづらい側面がありました。
しかし、近頃はインフォームド・コンセントの徹底により、患者も医療に積極的に参加するような流れになってきています。
インフォームド・コンセントとは医療行為について、患者がよく説明を受け十分な理解をもった上で、患者の自由意思によって治療方針を決めることです。
「十分な理解」と「自由意思による合意」ということが重要です。
この「知る権利」「知らされない権利」もその一環と言えます。
患者が医療に介入する機会も大切ですが、医者の負担の増加に繋がっているとも叫ばれています。
医療に対する社会的な仕組みや、医療そのものに関心を持つことが大事です。
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