コロナ禍による需要の増加

コロナ禍での冷凍食品販売の実情

コロナ禍の自粛生活の中で外食から内食へのシフトが進み、家庭内で食事を摂る機会が増えて家庭用冷凍食品の利用が今まで以上に高まっています。 例えば、冷凍麺は大きく分けて「素材麵」と「具付き麵」に分かれていますが、素材麵は家庭での調理機会が増える中で素材として、具付き麵はテレワークや休校の影響で簡単に調理できる昼食などとして、それぞれが消費者のニーズに応える商品となりました。 また、冷凍食品は備蓄性や簡便性、および廃棄ロスが出ないという利便性が評価されており、近年支持率が拡大しています。

冷凍食品の需要を拡大させている様々な要因

コロナ禍の自粛期間は冷凍食品の需要を拡大させましたが、その他の要因として女性就業者の増加や高齢者の増加などが考えられます。 これらの要因は当然コロナ禍が襲来する前からあり、コロナ禍が収束したとしても冷凍食品の需要が急激に下がるとは考えにくいです。 また、冷凍食品の市場の拡大には各食品メーカーの努力により、以前よりも格段に美味しさが増したことも挙げられます。

コロナ禍での人気の冷凍食品

コロナ禍での人気の冷凍食品は、1位がうどん、2位がコロッケ、3位が炒飯となっています。 うどんはレンジで温めるなどするだけで解凍できる簡便さや種類の豊富さなどが人気の理由となっています。 最近では具入りの冷凍うどんも発売されており、そのまま解凍するだけで料理として成立するため時間のない際の食事に役立っています。 またコロッケや炒飯においても自分で作るよりも手間が圧倒的に省け、油の処理に手間がかからなかったり、自分好みにアレンジすることができたりすることが人気の理由となっています。 以前であれば冷凍食品はお弁当のおかずとして使われることがかなり多かったですが、コロナ禍で家にいる時間が増え、自ずと調理に当てることのできる時間も増えたことで、自分好みにアレンジすることのできる冷凍食品がお弁当のおかず以外の場面でも使われるようになってきています。

まとめ

コロナ禍の冷凍食品販売では以前とは異なる種類の商品の人気が出るなど、人々の“お家時間”が増えたことによる変化が見られます。 お弁当のおかずとして見られていた冷凍食品も、その利便性や種類の豊富さなどが人気を集めて主食などでも用いられるようになってきており、今後も様々な場面で冷凍食品が活躍していくと考えられます。

フリーズドライ食品

フリーズドライ食品とは

簡単に調理できる食品の1種に、フリーズドライ食品があります。 このタイプの食品も、コロナ禍で需要が増加しました。

フリーズドライの味噌汁

フリーズドライ食品とは、一度冷凍した食品の水分を真空状態で乾燥させるという真空凍結乾燥法で加工された食品のことです。 調理時にお湯や水を注いで加工前の状態に復元させるのが大きな特徴です。 元来、南極探検隊や自衛隊など、厳しい環境で過ごす人々の保存食として利用されていましたが、カップ麺の需要増加によってフリーズドライ技術が発展しました。

どんな食品もフリーズドライできそうですが、糖分を多く含む食品は不向きなようです。

加工手順

フリーズドライ食品の加工は大きく分けて2段階で行われます。

  1. 水分を多く含んだ状態の食品を約-30℃で急速凍結する。
  2. 減圧し、真空状態にすることで、食品中の水分を昇華(※)させて乾燥させる。

※通常、氷は水蒸気になるまでに融解と蒸発の2段階で変化します。 しかし真空状態では、氷は融解せずに昇華し、水蒸気となります。

フリーズドライの利点

フリーズドライ食品には、下記のような利点が存在します。

  • 復元性が高い。
  • 急速冷凍を利用していることもあり、品質が落ちにくい。
  • フリーズドライ食品は小型かつ軽量なので輸送性に優れており、遭難時の非常食としても携帯できる。
  • 常温でも長期間保存できる。

しかし、「常温でも長期間保存できる。」に関しては注意が必要です。 フリーズドライを施すと、食品には空洞部分が形成され、そこに空気が触れると空気中の酸素により酸化され、品質が悪化してしまいます。 そのため、適切な包装がなされている必要があります。