急速冷凍
開発の目的と利点
皆さんも一度は「急速冷凍」という言葉を耳にしたことがありませんか? 急速冷凍(または急速凍結)は、緩慢凍結型エアーブラスト方式の欠点である品質悪化を抑えるために開発されました。 最大氷結晶生成温度帯の通過にかける時間を短縮することで、氷結晶が大きくなるのを防ぎ、品質を守るのが急速冷凍です。
急速冷凍では、冷凍にかける時間が短くなったので、保管・流通コストの削減にも貢献しています。 さらに、原材料の収穫時期や製品の価格変動に影響されないので、食品の長期保存を可能にしました。
様々な冷凍方式
媒体の温度を下げたり、食品の持つ熱量を迅速に放出させたりすることで、急速冷凍が実現しました。 冷凍方式の例として下記の3種類があります。
ブライン式(リキッド方式)
-10~-35℃に冷やした液体に食品を付けることで冷凍します。 媒体には0℃でも凝固しないアルコールなどの液体が使用されます。
コンタクト方式
低温の冷凍板に食品を接触させて冷凍します。 冷凍板から伝導する熱量が空気よりも大きいことを応用した冷凍方式です。 冷凍板で挟み圧力をかけることで冷却技術を向上させる装置もあります。
液化ガス方式
極めて温度の低い液体窒素(約-196℃)や液化炭酸ガス(約-79℃)などの触媒を直接食品に吹きかけて冷凍します。
加えてエアーブラスト方式についても、送り込む空気を超低温にすることで、急速冷凍技術として取り入れられるようになりました。
冷凍の現場には、複数の方式を融合させた設備もあります。 使用者としても、冷凍する食品に合わせて最適な冷凍方式を選択する必要があります。
品質が悪化するという緩慢凍結の問題点を解決するために、急速冷凍技術が開発されました。 急速冷凍には様々な方式があり、それらを利用することで輸送や保管の費用を削減することができます。