物流の問題

冷凍物流業界の現状

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新型コロナウイルスの感染が拡大する以前から、日本国の冷凍物流の保管能力はひっ迫していました。 その原因は主に以下の3つです。

  • 2020年に特定フロンが製造中止になり、代替フロンへの切り替え費用を捻出できないため倉庫への委託の検討が必要。
  • 首都圏や関西圏の冷凍物流の老朽化が進んでいるものの、コストの高騰や代替倉庫の手配が難しいなどの理由で建て替えが遅延している。
  • 冷凍食品は取り扱いが難しいため専門スタッフの育成が必須になるが人件費が高く、トラブルが起きた際のリスクが大きいため新規参入企業が少ない。

商品の品質を保ったまま消費者に配送しなければならない

KEEP!

冷凍食品の物流では温度が変わるとあっという間に傷んで商品として成り立たなくなってしまうばかりか、企業の信頼が大きく損なわれるトラブルになりかねません。 事態を収めるための費用は販売額や管理コストよりもはるかに高額であるため、今後の企業経営に支障をきたす可能性もあります。 生産の段階から消費者のもとに配送されるまでの一連の過程で商品の品質を維持し続けることは非常に難しく、企業を悩ませる課題の1つです。

通常配送よりもコストがかかる傾向がある

一般的に、冷凍商品の配送にかかる費用は通常の商品の配送に比べて高額になる傾向があります。 倉庫において一定の温度で商品を管理するための費用はもちろん、配送の際にクール便を使用しなければならず、配送の過程で温度が変化していないかモニタリングするための人件費など、常温で保管できる商品に比べると様々な場面でコストが発生します。 単価が低い商品では配送料を上乗せすると採算が合わないため、消費者側に負担を求めるケースが増加します。 しかしながら、安価な商品に高額な配送料を設定すると購入価格よりも送料の方が高くなってしまう場合も少なくないため、消費者は購入をためらいやすくなるというリスクも考えられます。

物流業務に多くのリソースを必要とする

冷凍商品の物流業務には通常の物流業務に比べて多くのリソースを必要とします。 冷凍商品は倉庫での保管中も適切な温度帯を維持し続けたり、出庫されてからも冷凍トラックの中で商品が理想的な状態に保たれているかをモニタリングしたりする業務が発生するため、より多くの専門知識を持ったスタッフを用意しなければなりません。 また常温の倉庫で梱包業務を行うことができないため作業できるスペースも限られるなど、業務効率も通常の物流に比べて必然的に大きく低下してしまうケースが多くなってしまいます。 続けて荷物をトラックに積み込む際にも注意が必要です。 冷凍商品の場合、もしも誤って温度帯の異なるトラックにのせてしまうと商品の鮮度を維持できなくなってしまいます。

このように温度を管理し、作業もスムーズに進むようにオペレーションを整える必要があり、大きな課題と言えるでしょう。

まとめ

冷凍商品の物流には物流業界全体が抱える課題に加えて冷凍商品の物流特有の厳しさもあります。 品質と低コストが求められる中でどのように有力な人員の確保、正確な運送を行っていくかということが現代の冷凍商品の物流における課題といえます。