電力の問題

冷凍に伴う電力消費

冷凍技術の進歩」でも取り上げた通り、冷凍技術は約1世紀の間に大きな発展を遂げました。 しかし、そこで問題となったのは、電力の消費量が増えてしまったことです。

冷凍庫の進化と電気代の推移

まず昔の冷蔵庫と最新の冷蔵庫の電気代を比較してみます。 以下の表は2005年製の冷蔵庫と2020年製の冷蔵庫の電気代を比較したものです。

2005年製冷蔵庫の年間消費電力 / 年間の電気代 約680kWh / 約15,600円
2020年製冷蔵庫の年間消費電力 / 年間の電気代 約290kWh / 約7,803円

最新のものと昔のものとを比べると約390kWhの差があり、電気代と共に2倍以上の差があります。 冷凍庫の歴史を見てみると、冷凍技術ははじめ、大正時代半ばから国内外で魚介類を急速冷凍することを目的として普及し始めました。

戦後になると、食料需要の増大や経済成長を受けて、保存のきく冷凍庫への需要が高まるようになりました。

高度経済成長期にさしかかると、電気冷凍庫は白黒テレビや洗濯機と並び「三種の神器」と呼ばれ、爆発的に普及していきます。

一方、冷凍技術の進化の裏で多量のフロンの使用が問題となっていました。 この問題を対処するため1987年にはモントリオール議定書が採択され、使用していたフロンの使用が抑えられたものが次第に発売されるようになっていきました。

また2000年代に入ると断熱材が進歩することにより省エネをより意識した製品が発売されるようになっていきました。 このような進化をとげていくとともに製品自体の価格も安くなっていき、より多くの人に普及していったのです。

冷凍設備の使用によって発生するフロンがもたらす影響

オゾン層破壊のメカニズム

冷凍技術が進化する一方で、地球は今、フロンによるオゾン層の破壊によってもたらされる地球温暖化や資源枯渇などを含む多くの問題が引き起こされています。 前提として、冷凍機は熱の移動としてフロンを冷媒として使用することが非常に多くあります。 フロンが大気中に放出されると対流圏で分解されず、成層圏まで上昇していきます。 そこで太陽からの紫外線によって分解して塩素が生成され、それがオゾン層(紫外線をはるか上空の成層圏で吸収して生物を守っているもの)を破壊しているのです。 オゾン層が破壊され紫外線が多くなると、皮膚がんや白内障が発生しやすくなり安易に外出することができなくなるだけでなく植物の生育も悪くなり、世界中で食糧不足が起こる可能性も充分にあります。 冷凍設備を使用しながらもいかにフロンの放出をなくし、かつ回収していくかということが重要です。

ペンちゃん

世界中で食糧不足…?! 大変だぁーーー!

まとめ

冷凍技術の進歩によって電力の消費量の増加や、フロンガスの増加によるオゾン層破壊が問題になりました。オゾン層の破壊は食糧不足や健康問題など多くの被害を与えます。 フロンの排出を抑えながら冷凍設備をどのように利用するかということが重要です。