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”長い歴史を持つ灘の酒造りを再現”
白鹿記念酒造博物館(酒ミュージアム 酒造館)
【場所】兵庫県西宮市 【見学日】2019年3月18日
日本酒は成人しないと飲めませんが、和食の味付けや肉や魚の生臭さを取るための下ごしらえのとき、日本酒は調味料としても活躍します。飲むこと以外にも役に立っていますね。
日本酒は日本古来の醸造酒です。米と米麹、水で醸造できるので原料は少ないですが、その工程は複雑です。
今は醸造場で生産性が高い機械を使って日本酒が造られることが増えましたが、兵庫県の灘五郷にある明治時代の酒蔵を再現した木造蔵「酒造館」で当時の様子を見学することができました。
灘五郷について
灘五郷とは兵庫県西宮市と神戸市の沿岸にある5つの地域で、西宮市の「今津郷」「西宮郷」、神戸市の「魚崎郷」「御影郷」「西郷」で構成されています。
灘五郷は、全国のおよそ3割の日本酒を出荷しています。
灘での酒造り
灘で酒造りが盛んに造られ始めたのは、江戸時代後期です。
灘地域は六甲山地からの川が多く、米を精米するのに水車が使える地形であったこと、また海沿いであるため船を利用するのに便利であったことが発展をもたらしました。
酒造りに適した気候
酒造りは冬の寒い時期に集中して行われます。気温が低ければ雑菌に汚染されることが少なく、低温発酵した優れた品質の酒ができます。冬になると灘地方には六甲山から「六甲颪(ろっこうおろし)」という冷たく乾いた北風が吹きおろします。瀬戸内の湿潤な気候とこの北風が寒気を強め、酒造りに良い影響を与えるのです。
酒造りに大切な水と米
【水】 洗米・仕込み・割水などの工程に、原料の10倍以上の水を利用するため、水が豊富かつきれいな場所で
酒造りは行われてきました。また、特に鉄分やマンガンを多く含有すると味や色を悪くします。
灘五郷の水は六甲山地からの伏流水で鉄分が非常に少なく、発酵に必要なリン、カリウムを豊富に含む
硬水です。
ちなみに軟水は繊細な味に、硬水は力強い味になるといわれています。
【米】 酒造りに使う米は「酒米」といい、中でも最も優れているのが昭和11年に誕生した山田錦(やまだに
しき)で、六甲山地北側で作られています。
稲の背丈も米粒も大きく、粒の中心に心白と呼ばれる部分があります。心白はでんぷん質で麹菌に
よってブドウ糖に糖化されますが、山田錦の心白は特に糖化されやすいため酒造りに都合が良く、灘の
酒には欠かせません。
酒造り名人【丹波杜氏(たんばとじ)】
良質の水、米、気候や風土を生かし、最高の酒に育てるのが丹波杜氏の技術です。冬の農閑期を利用し、酒造りのために灘に出稼ぎに来る人々です。
杜氏は一つの蔵の工場長のような存在で、自ら選んだ蔵人と共に一集団を作り、酒造りに励みました。
昔の酒造りの様子
凍えるような寒さの冬、何から何まで人の手でしていた昔の酒造りは、蔵の中に威勢のいい掛け声が響き、酒造りの唄を歌いながら作業が進められていました。
【昔の酒造りの工程】
@ 精米 酒造りに不必要なたんぱく質や脂肪を削る作業
A 蒸し 米の下から勢いよく蒸気を当てて蒸す
米を糖化し麹菌、酵母菌の活動をしやすくすると共に、殺菌の役割がある
※酒造りの全てに関わる蒸米は一番重要な作業
B 麹つくり 麹の胞子を種麹といい、これを32℃くらいに冷やした蒸米にうえつけ、2日かけて麹をつくる
C 酒母 糖をアルコール発酵させる酵母菌を育てる
水・蒸米・麹を混ぜた中で元気のいい優良な酵母をたくさん純粋培養する
D もろみつくり
できた母酵の中に水・蒸米・麹を3日で3回に分けて仕込む←三段仕込み
その後、17〜20日でもろみつくりは終了する
E 圧搾 もろみを搾り、酒と酒粕に分ける
酒袋の中にもろみを入れ、重しをかけて搾るという大変な作業
F 火入れ おり引きを終えた原酒を、殺菌のため62〜65℃で加熱
これを火入れという
G 貯蔵 出来上がった新酒は秋までの半年間、ゆっくり熟成させる
味が一段と良くなる灘酒特有の「秋晴れ・秋映え」する酒になる
H 瓶詰 酒の味を調節し、もう一度火入れしてから瓶などに詰める
まとめと感想
酒蔵館では、明治時代の酒造りの様子が誰でも一目でわかるようにリアルに再現されていました。
音響効果や映像で詳しい説明があり、当時の活気が容易に想像できます。
酒造りに最適な良質の水・米・気候と技術力の高い杜氏の存在という好条件が重なり、灘五郷では酒造りが発展したということが分かりました。
展示してあった樽に入れたのですが、両手を挙げても届かない大きさでびっくりしました。階段を上って巨大な樽の上から長い棒で酒をかき混ぜている展示を見て、昔の酒造りは力仕事が多く作業の大変さを感じました。
収蔵されている酒造道具や桶、樽づくり用具は、兵庫県及び西宮市の重要有形民俗文化財に指定されているそうです。
日本酒は日本古来の醸造酒です。米と米麹、水で醸造できるので原料は少ないですが、その工程は複雑です。
今は醸造場で生産性が高い機械を使って日本酒が造られることが増えましたが、兵庫県の灘五郷にある明治時代の酒蔵を再現した木造蔵「酒造館」で当時の様子を見学することができました。
灘五郷について
灘五郷とは兵庫県西宮市と神戸市の沿岸にある5つの地域で、西宮市の「今津郷」「西宮郷」、神戸市の「魚崎郷」「御影郷」「西郷」で構成されています。
灘五郷は、全国のおよそ3割の日本酒を出荷しています。
灘での酒造り
灘で酒造りが盛んに造られ始めたのは、江戸時代後期です。
灘地域は六甲山地からの川が多く、米を精米するのに水車が使える地形であったこと、また海沿いであるため船を利用するのに便利であったことが発展をもたらしました。
酒造りに適した気候
酒造りは冬の寒い時期に集中して行われます。気温が低ければ雑菌に汚染されることが少なく、低温発酵した優れた品質の酒ができます。冬になると灘地方には六甲山から「六甲颪(ろっこうおろし)」という冷たく乾いた北風が吹きおろします。瀬戸内の湿潤な気候とこの北風が寒気を強め、酒造りに良い影響を与えるのです。
酒造りに大切な水と米
【水】 洗米・仕込み・割水などの工程に、原料の10倍以上の水を利用するため、水が豊富かつきれいな場所で
酒造りは行われてきました。また、特に鉄分やマンガンを多く含有すると味や色を悪くします。
灘五郷の水は六甲山地からの伏流水で鉄分が非常に少なく、発酵に必要なリン、カリウムを豊富に含む
硬水です。
ちなみに軟水は繊細な味に、硬水は力強い味になるといわれています。
【米】 酒造りに使う米は「酒米」といい、中でも最も優れているのが昭和11年に誕生した山田錦(やまだに
しき)で、六甲山地北側で作られています。
稲の背丈も米粒も大きく、粒の中心に心白と呼ばれる部分があります。心白はでんぷん質で麹菌に
よってブドウ糖に糖化されますが、山田錦の心白は特に糖化されやすいため酒造りに都合が良く、灘の
酒には欠かせません。
酒造り名人【丹波杜氏(たんばとじ)】
良質の水、米、気候や風土を生かし、最高の酒に育てるのが丹波杜氏の技術です。冬の農閑期を利用し、酒造りのために灘に出稼ぎに来る人々です。
杜氏は一つの蔵の工場長のような存在で、自ら選んだ蔵人と共に一集団を作り、酒造りに励みました。
昔の酒造りの様子
凍えるような寒さの冬、何から何まで人の手でしていた昔の酒造りは、蔵の中に威勢のいい掛け声が響き、酒造りの唄を歌いながら作業が進められていました。
【昔の酒造りの工程】
@ 精米 酒造りに不必要なたんぱく質や脂肪を削る作業
A 蒸し 米の下から勢いよく蒸気を当てて蒸す
米を糖化し麹菌、酵母菌の活動をしやすくすると共に、殺菌の役割がある
※酒造りの全てに関わる蒸米は一番重要な作業
B 麹つくり 麹の胞子を種麹といい、これを32℃くらいに冷やした蒸米にうえつけ、2日かけて麹をつくる
C 酒母 糖をアルコール発酵させる酵母菌を育てる
水・蒸米・麹を混ぜた中で元気のいい優良な酵母をたくさん純粋培養する
D もろみつくり
できた母酵の中に水・蒸米・麹を3日で3回に分けて仕込む←三段仕込み
その後、17〜20日でもろみつくりは終了する
E 圧搾 もろみを搾り、酒と酒粕に分ける
酒袋の中にもろみを入れ、重しをかけて搾るという大変な作業
F 火入れ おり引きを終えた原酒を、殺菌のため62〜65℃で加熱
これを火入れという
G 貯蔵 出来上がった新酒は秋までの半年間、ゆっくり熟成させる
味が一段と良くなる灘酒特有の「秋晴れ・秋映え」する酒になる
H 瓶詰 酒の味を調節し、もう一度火入れしてから瓶などに詰める
まとめと感想