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Section5. バイオプラスチック
プラスチックは軽くて自由自在に成形加工でき、丈夫で便利という特徴がある反面、腐らない(微生物によって分解されない)性質があるため自然界にいつまでも存在します。
木材なら微生物で分解されますが、プラスチックは土に埋めても分解されず、焼やせば有害なガスや二酸化炭素が発生します。
ペットボトル、ポリ袋、プラスチック容器などの合成樹脂、洋服の合成繊維など、私たちが使い捨てた大量のプラスチックごみが海へ流れ込み、海洋生物に打撃を与え、生態系や地球環境に悪影響を及ぼしています。
また、原料の石油も限られた資源です。
このような背景から開発されたのが「バイオプラスチック」です。これはトウモロコシや芋など植物由来のでんぷんや糖類を原料に、微生物の発酵で作った種々のプラスチック原料からできたものです。
代表例は「ポリ乳酸」を使ったバイオプラスチックです。
ポリ乳酸(PLA)は、ペットボトルの材料ポリエチレンテレフタラート(PET)と同じポリエステルのなかまで、原料は家畜飼料用のトウモロコシなどのでんぷんです。
このでんぷんを酵素でブドウ糖に分解し、乳酸菌で発酵させ乳酸をつくり、それをたくさんつなげるとポリ乳酸になります。
ポリ乳酸の用途は、ごみ袋や農業資材、携帯電話やパソコンの筐体(きょうたい:電気機器やコンピューターなどの主要部分を格納する箱形の容器)など様々です。身近な例では、窓付き封筒の窓の部分に使用されています。
トウモロコシ10粒からA4のポリ乳酸シート1枚が作られます。
バイオプラスチックは微生物のはたらきによって分解され、最終的には二酸化炭素と水になるといわれています。
このように、微生物によって完全に分解されるプラスチックを「生分解性プラスチック」といいます。
焼却すれば二酸化炭素を排出しますが、バイオプラスチックの元々の原料は植物なので、成長中に二酸化炭素を吸収してできています。
ですから理論上、二酸化炭素が増えて温室効果をもたらすことはないカーボンニュートラルな材料であると考えられています。
また、エコで環境に良いという意味で、別名「グリーンプラスチック」と呼ばれています。
しかし、発酵でバイオプラスチックの原料をつくるためには、微生物を適正な環境ではたらかせるための栄養分やエネルギーが必要です。また、利用できない部分は廃棄しなければなりません。これらは二酸化炭素や環境負荷の増加を引き起こすとも考えられています。
技術開発が世界中で進んでいますが課題も多く、どの技術がどれほど二酸化炭素を削減できるか、費用はどれくらいか、いつ実現できるかなど分からないこともたくさんあります。
そんな中、私たちが今すぐできることは何でしょうか。
プラスチックごみ削減のため、どんな行動をとれていますか。
プラスチック製品を大事に使うこと、使い捨てる前に他の使い道はないか考えること、リサイクルを行い資源を大切にすることなどでしょうか。
発酵でバイオプラスチックが効率よく作られ環境問題に貢献することも期待されますが、同時に私たち自身ができることを考え、今すぐ行動に移すことも重要です。
まとめ
・トウモロコシや芋を発酵することで作られる「バイオプラスチック」は微生物によって分解可能な
「生分解性プラスチック」であり、環境に良いと注目されている。
・バイオプラスチックは燃やすと二酸化炭素が出るが、原料が植物なのでカーボンニュートラルが
達成されると考えられている。
・分解できる利点を生かした商品開発が行われている。
4. 様々なエネルギーになる発酵
体験レポート