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Section2. 環境汚染の解決に貢献する発酵


40億年前に地球に生命が誕生してから様々な生物が生まれてきましたが、もし微生物が存在しなかったらどう
なっていたでしょうか。
おそらく40億年分の生物の死骸や排泄物で地球が覆い尽くされていたでしょう。
でもそうならないのは、微生物が発酵することで「分解」しているからです。
地球がこれからも美しくあるために発酵作用は必要不可欠なのです。
生態系の成り立ちには、微生物のはたらきが大きく関わっているといえます。

発酵は環境汚染の解決に貢献していますが、人類が知り得た微生物の能力はほんの一部分で、利用されている
ものはごくわずかです。
また、まだ技術が足りず効果が認められていないものも数多くあります。

今、世界共通の環境問題(地球温暖化・大気汚染・水質問題・海洋プラスチック問題・有機廃棄物の処理など)
解決に向け研究開発が続いています。
発酵のように自然由来で地球にやさしい技術分野にもっと注目が集まり、新たな段階のバイオテクノロジーの
進化が求められているのは言うまでもありません。



水質汚染


 

 発酵は環境浄化にもとても役立っています。
 例えば、微生物を利用した排水の処理法では、有機物を多く含む汚水を細菌や藻類、原生動物(ゾウリムシ
 など)の力を用いて浄化する生物処理が行われます。
 トイレや風呂、台所から出る生活排水や雨水は下水処理場に集められ「活性汚泥法」で処理されます。
 それでは、活性汚泥法の仕組みを紹介します。


 @ 下水中に含まれる砂やごみを沈殿させ取り除く。
 A 汚水に活性汚泥を加える。
 B Aに空気を入れかき混ぜ、発酵させる。
   →微生物は下水中に含まれる物質を栄養源として増殖し、水分や二酸化炭素に分解する。
 C 細かい汚れは微生物に付着し、沈みやすい塊になる。
   →1o弱の塊を形成するので、反応後に微生物と処理水を重力分離することができる。
   このとき底に沈んだものを活性汚泥として再利用することで、継続的に処理が可能。
 D 上澄み水は塩素処理され川や海に放流し、残った汚泥は資源として利用される。

 

 昔は神田川や多摩川に魚の死骸が浮いているなど水質汚染が問題となっていましたが、発酵技術によって
 解決されました。
 それは、どのような方法だったのでしょうか。

 最初は水質処理にバクテリアを使っていましたが、バクテリアがとても小さいので負荷重量が大きすぎると
 よく機能しないことがありました。
 そこで、いわゆる大食漢(早食い・大食い)の酵母を使うことにより画期的に浄化精度が良くなりました。
 汚れた工場廃水の有機物を微生物の力で分解する発酵技術を使うことによって、きれいな水に処理すること
 ができたのです。
 現在は昔と比べものにならないほどきれいな水に浄化できるので、一回浄化した水は工業用水として再利用
 しています。


  もっと知りたい!


汚れた水を川に流すとどうなる?


有機物というのは生物に由来する物質で、例えば残飯や排泄物、動植物の死骸などのことですが、有機物
による水の汚れは微生物によって分解されますよね。
このような汚水をそのまま川に流せば、微生物が汚れを分解する際に水中の酸素を使ってしまいます。
酸素が少なくなると川にすむ生物は呼吸ができなくなって死に、腐敗微生物が増え嫌な臭いが出るなどの
悪影響が出ます。
だから、汚れた水を川に流してはいけないのですね。















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