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キムチ


キムチは、朝鮮半島を代表する漬物の総称です。
塩漬けした白菜、キュウリやカブなどに、千切り大根やワケギなどの具材とヤンニョム(薬念:塩・砂糖・醤油・味噌・ゴマ油などの調味料に、唐辛子・ニンニク・ショウガ・葱などの薬味を合わせて作る調味料)をぬりつけます。
これに発酵を促進する塩辛(アミ・イワシなど)やもち米のお粥(糖分)を加え、かめに漬け込み乳酸発酵させたものです。

日本産のキムチは、日本人の味覚に合わせて作られた浅漬け(無発酵)のものが多いですが、韓国産のキムチは200種類近くあり、地域によって材料が違うため地方ごとに特徴あるキムチが作られています。
乳酸発酵(乳酸菌:ラクトバチルス属)した強いコクが特徴で、唐辛子の辛みに魚介の塩辛が発酵した酸味とニンニクの強いにおいが合わさり、日本産のキムチとはかなり違います。



歴史

キムチは元々、野菜を塩で漬けただけの白キムチや、水気の多い水キムチで、赤いキムチではありませんでした。
現在のように赤いキムチになったのは、唐辛子が朝鮮半島に伝来した16世紀末頃だといわれています。
唐辛子の原産地は中央・南アメリカで、ポルトガル人がヨーロッパに伝えました。
1552年にポルトガル人宣教師が日本の戦国大名、大友義鎮(よししげ)に種を献上し、豊臣秀吉の朝鮮出兵か江戸時代の貿易の際に、日本から朝鮮半島に伝わったといわれています。

唐辛子を使用したキムチについての最も古い文献は、18世紀に刊行された農業書ですが、千切り唐辛子を少し入れたもので、現在のような唐辛子の粉を入れた赤いキムチは、1827年の「林園(りんえん)十六志」に初めて登場しました。

 

種類

代表的な韓国産キムチは、漬け込む野菜の種類や地域の気候の違いによって、味などの特徴がはっきり出ます。こうした地域の違いは気温と関連していて、キムチは温度が高ければ発酵しやすくなります。
発酵しすぎると酸っぱくなったり歯ざわりが悪くなります。

それを防ぐ役割をするのが塩分です。温暖な南部のキムチは発酵を抑えるため塩分を多めにします。
その結果、水分の少ない濃い味のキムチができるのです。

    

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2013年12月、日本の「和食」と同時に韓国の「キムジャン文化」が、ユネスコ無形文化遺産に登録されました。キムジャンとは、晩秋に地域の人々が協力し合って大量にキムチを漬け込む行事です。
キムジャンキムチは、地域の恵まれない人々とも分かち合い、地域の協力関係の増進の役割も担ってきました。
キムジャン文化の「わかちあいの心」は同じく登録された和食の「おもてなしの心」に通じるといわれています。


参考資料

 

ポプラ社      しらべよう!世界の料理@ 東アジア 日本 韓国 中国 モンゴル P20〜23
日本経済新聞出版社 発酵はマジックだ P129〜130
実業之日本社    発酵検定公式テキスト P19,96