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ぬか漬け


日本には数多くの漬物が存在し、その規模は世界上位です。
全国で600種類以上もあるといわれ、それぞれの地域の気候風土を活かした漬物が多彩です。
ぬか漬けは、米ぬかと塩水を混ぜ発酵させたぬか床に、野菜を漬け込んだものです。
野菜に付着した乳酸菌がぬか(米の胚芽や表皮など)に含まれる糖やたんぱく質を分解し、うま味を生成します。
他に酪酸菌、酵母も関わり共生発酵します。


歴史

天平年間(710~794年) ウリや青菜の塩漬け
平安時代 麹漬け、酢漬けなど多数
また、楡木(ニラギ:食材を塩とニレ科の落葉植物の樹皮を粉末にしたもので漬け込んだもの)は薬と
しても使われていました。
室町・江戸時代 全国の至るところへ広まりました。


種類

漬物とは、野菜などの食品を塩などとともに漬け込み、保存性を高め風味を良くしたものです。
日本の漬物は微生物が直接関わっていない「無発酵漬物」と、何らかの形で関わりがある「発酵漬物」に分けられます。
無発酵漬物はらっきょうの酢漬けや福神漬け、梅干しなどで、発酵漬物にはぬか漬けや麹漬け、なれ鮓(なれずし:コイやフナなどを漬け込む)などがあります。


製造法



 


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ぬかってどの部分?

私たちが普段食べている白米は、玄米(もみ殻を剥いた米)を精米したものです。
精米するときに胚芽や表皮など口当たりの良くない部分を取り去るのですが、ぬかというのはその胚芽や表皮などの部分です。
ぬかは白米よりも多くの栄養成分(ビタミン類や食物繊維など)を含みます。

塩分含有量

漬物は塩分が多く健康に良くないのでは?と思うかもしれません。
しかし、漬物の塩分含有量はそれほど多くありません。
塩分含有量が、醤油は15〜18%、味噌は11〜13%なのに対し、白菜の漬物はたった2%です。
醤油をかけ過ぎたりしない限り、気にしなくても大丈夫な量だといえます。


栄養・効果

漬物は野菜から脱水した食べ物なので、栄養素(ビタミン類や食物繊維)を濃縮した状態で摂取できます。
そのため一度にたくさんの野菜を食べることができ、より多くの栄養を摂ることができます。
例えばキュウリをぬか漬けにした場合、生のキュウリと比べビタミンKは約3倍、ビタミンB1は約10倍に増えます。

ぬか漬けの栄養成分は主にナトリウム、カリウム、リン、ビタミンA・B1・B6で、植物性乳酸菌と食物繊維が腸内環境を整えます。
また、ぬか漬けに含まれるGABA(ギャバ)というアミノ酸の一種には、脳の興奮を鎮めてリラックスさせる効果があります。


参考資料


実業之日本社    発酵検定公式テキスト P17,68,78
日本経済新聞出版社 発酵はマジックだ P116,118,121〜122
日刊工業新聞社   トコトンやさしい発酵の本 P44,102
ほるぷ出版     つくってみよう!発酵食品 P20
PHP研究所     おどろきの栄養パワー 発酵食品の大研究 みそ、しょうゆからパン、チーズまで P40