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  "原料の栄養価をアップ!納豆菌のはたらきと発酵パワー"

      
タカノフーズ株式会社 おかめ納豆水戸工場


http://www.takanofoods.co.jp/fun/factory

【場所】茨城県小美玉市  【見学日】2019年4月14日

納豆(糸引き納豆)は、蒸し大豆に納豆菌をふりかけ発酵させてつくります。
そこまでは何となく知っていても、
「なぜ納豆はネバネバ糸を引くの?」
「発酵して納豆になると、どのような栄養素が増えたの?」
「いつ、どんなきっかけで納豆が食べられるようになったの?」
など、実はよく分からないですよね。

独特の粘りと臭いが特徴の納豆ですが、近年海外でも人気があり健康食品として注目されています。
日本古来の伝統食品をもっと知るため調べてきました。

納豆誕生のきっかけ



縄文時代末期、中国から稲作が伝わりました。日本の温暖な気候は農耕に適し、先人たちは大事に育てた農作物を身近な物を利用し保存しました。 山道を移動するときなど、稲わらを容器代わり(苞:つと)に大豆の煮豆を包み、携帯食として背負って歩いたといわれています。

納豆菌(枯草菌:こそうきん)は稲わらの表面に大量に付着しています。40℃前後で保温し一日置くと、稲わらの納豆菌が煮大豆に移行して発酵が起こるため、歩き続けて食べる頃には自然に納豆に変化し、塩をかけて食べたと考えられています。


おかめ納豆の製造方法



@ 大豆を洗う(洗浄)
A 大豆を水に浸す(浸漬)
B 大豆を蒸して(蒸煮)、納豆菌をスプレーで吹きかける(噴霧)
C トレーやカップにつめる(もりこむ)←(充填)
D 発酵させる(発酵・熟成)
E 商品ラベルをかける
F 配達する

  ※おかめ納豆工場案内 パンフレットより引用(2019.4)




豆知識


粘りこそ、おいしさの秘密!

納豆のねばねばした粘りは納豆菌が大豆のたんぱく質を分解してできたもので、グルタミン酸とフラクタンという物質からできています。
このグルタミン酸は昆布などに含まれる「うま味」の素となる成分です。
食べる前に納豆をよくかき混ぜて粘りを出すのは、うま味を増すためでもあるのです。
砂糖を少し加えてかき混ぜると、粘りがよくなるそうですよ。



おかめ納豆1パック(45g)中の栄養素について





                               (納豆博物館にてチームメンバーが撮影)

栄養成分と効果



大豆から納豆になることで、納豆菌は粘りと共にビタミンK2(主に骨を丈夫にする役割)やビタミンB2など、ビタミン類が豊富になります。
納豆に含まれる栄養成分の内、納豆菌のはたらきにより増えたものは、ビタミンB2、ビタミンK2、アミラーゼ、リパーゼ、プロテアーゼ、ナットウキナーゼ、ジピコリン酸などです。

特にビタミンB2は煮豆の6倍になり、ビタミンK2は他の発酵食品の数百倍にもなります。またナットウキナーゼという酵素は、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす原因となる血栓を溶かす作用があり、他にも整腸・消化作用など、機能性に優れています。

納豆は、発砲スチロールの容器に入れられてからも発酵しています。私たちが口にする直前まで、おいしく食べられるよう工夫されています。納豆は納豆菌が発酵することで、原料の大豆以上に栄養豊富になった健康食品です。



まとめと感想


納豆独特のにおいが苦手な人や「納豆は腐っている?」と思う人もいます。納豆は腐って(腐敗)いるわけではなく、納豆菌が活躍(発酵)することで元の食材にはない新たな栄養素ができ、うま味や風味も出ておいしくなります。
腐敗も発酵も微生物(菌やカビなど)が原因ですが、前者は病気や食中毒になる病原菌になり害を与え、後者は人の役に立つ有益な物質を作り出します。ここが大きな違いです。

納豆菌は有機物を分解する力が強力なので、大豆のたんぱく質を分解し、うま味成分のアミノ酸を生成しますが、同時にアンモニアなどの臭気成分も発生してしまいます。このにおいが苦手な人は、最近は一般的な「においの少ない納豆」を試すのはどうでしょうか。臭気成分を作る酵素を弱めるなど改良されています。
納豆の豊富な栄養素を逃さず、ぜひ発酵のおいしさをみなさんに味わってもらいたいです。