ホーム>微生物が生み出す発酵食品>醤油
醤油
和食の味付けの要である醤油は、長い歴史の中で地方ごとの食文化に適した特徴あるものが作られてきました。今では和食のみならず、世界中の料理に使われる人気の調味料になっています。
歴史
醤油の起源は諸説あり、古代中国の「醤(ひしお):食品を塩漬けにし発酵させたもの」だといわれています。
日本では、鎌倉時代に中国から味噌の造り方が持ち込まれたときに、味噌を入れていた容器の底にたまった液体を調味料として利用したのが醤油の始まりとされています。
戦国時代末期には、日本初の醤油屋が関西に誕生し、大阪の町人の間では馴染み深いものとなりましたが、そのころ江戸では、まだ醤油の生産はされておらず、関西の醤油を珍重していました。
その後、江戸の人口増加に伴い醤油の需要が増えました。醤油造りに適した気候に恵まれ、江戸川と利根川の水運を利用し、原料の大豆や小麦、塩などを手に入れやすく、また出来上がった醤油を江戸まで運ぶことができた千葉県の野田市や銚子市は醤油の一大生産地になりました。
種類
醤油は色の濃淡によって大きく5つに分けられます。色の違いは原料の大豆や小麦の比率、食塩水の量によって生み出され、煎餅や吸い物、茶わん蒸しなど、食材の色や風味を活かすため料理によって醤油を使い分けます。
また、地方ごとの食文化に適したものが造られてきたので、各々に特徴がある地方色豊かな食品です。
製造法
醤油の原料は大豆・小麦・食塩です。蒸した大豆と炒って砕いた小麦を混ぜ、コウジカビを繁殖させると酵素が生まれ醤油麹ができます。これに食塩水・酵母菌・乳酸菌を加えると「諸味(もろみ)」ができ、発酵が進みます。半年〜3年熟成した後、諸味を圧搾し分離した液体が醤油です。この段階の醤油を「生醤油(きじょうゆ)」と呼びます。
一般的な醤油は生醤油を火入れしろ過します。加熱殺菌をすることで香りを引き立てます。
大豆と小麦の比率や食塩水の量を変えることで、濃口や淡口などに作り分けることができます。
体験レポート
参考資料
誠文堂新光社 発酵のきほん P48〜49
日刊工業新聞社 トコトンやさしい 発酵の本 P38〜39