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ビール


ビールの主原料は麦芽・ホップ・水です。ビールの素になる麦汁に酵母を加えると発酵が始まります。
麦汁の糖分がアルコールと炭酸ガスに分解されることで若ビールができます。これを数十日間熟成し、ろ過させると生ビールの完成です。
麦は穂軸を中心に粒が2列に並び、以下のビール向きの特徴を持つ「二条大麦」を使用します。
 @ 粒が大きい
 A でんぷん質が多い
 B たんぱく質が適度
 C 皮が薄い

また、香りとほろ苦さを出すためホップ(アサ科のツル性植物)を加えます。ホップには以下の役割があります。
 @ ビール独特の香りとほろ苦さを与える
 A 余分なたんぱく質を凝固・分離し、ビールを清澄にする
 B 雑菌の繁殖を抑え、日持ちを良くする
 C ビールの泡立ち・泡持ちをよくする


歴史

ビールづくりの最も古い記録は、約5000年前にさかのぼります。
メソポタミア地方のシュメール人が粘土板に楔(くさび) 型文字で書いたビールづくりの様子が記録に残っています。彼らのビールは発芽させた麦を乾燥させ粉状にしパンを焼き、これを砕いたものに水を加えて自然発酵させたものでした。
やがて古代人は麦やキビ、ナツメヤシを添加した様々な種類のビールを作り始めたといわれています。

また、ビールにホップが使われ始めたのは8世紀のドイツです。
それまではビールに様々な薬草を混ぜて飲んでいましたが、たまたまホップを使ったところビールの日持ちがよくなったため、その後盛んに使われるようになったそうです。


種類

    ビールは使用する酵母によって「上面発酵ビール」と「下面発酵ビール」に分けられます。

上面発酵ビール・・・発酵中に酵母が泡と共に液面に浮上する上面酵母を使用し、比較的高い15〜25℃で発酵します。
イギリスのビールに多く、サッカロマイセス・セレビシエなどの酵母が使われ、発酵力が強いためアルコール濃度が高く、比較的濃厚なビールができます。

下面発酵ビール・・・発酵が進むにつれて酵母が発酵槽の底に沈む下面酵母を使用し、8〜12℃の低めの温度で発酵します。低温貯蔵しじっくりと熟成させます。
日本やドイツ、アメリカのビールに多く、サッカロマイセス・カールスベルゲンシスなどの酵母が使われ、緩やかに発酵するため軽いビールができます。


製造法

麦芽を粉砕したものを湯に溶かし、大麦自身の酵素アミラーゼででんぷんを糖化します。
糖化した液にホップを加えて煮沸し、麦汁を作ります。
この麦汁に酵母を加えて約1週間低温アルコール発酵をさせると、麦汁中の糖がアルコールと炭酸ガスに分解され若ビールができます。
これを数十日間熟成させた後、ろ過すると生ビールが完成します。


体験レポート


アサヒビール 茨城工場



参考資料


アサヒビール株式会社   ビールミニガイド ビールの「なるほどBOOK」
アサヒビール株式会社   工場見学 パンフレット
アサヒビール 茨城工場 HP https://www.asahibeer.co.jp/brewery/ibaraki/
             利用規約 https://www.asahigroup-holdings.com/privacy_policy/05/
日刊工業新聞社      トコトンやさしい 発酵の本 P98〜99
実業之日本社       発酵検定公式テキスト P109