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Section1. 健康・医療の発酵
発酵は医療の場面でも大活躍します。その例を紹介します。
抗生物質
皆さんは抗生物質を知っていますか?
抗がん剤や抗細菌剤などがあり、がん細胞やウイルスを体内からなくすための医薬品で、感染症に最も有効といわれています。
抗生物質は微生物によって作られています。
なぜ、がん細胞を微生物が倒すことができるのでしょうか?
答えは微生物の「拮抗作用」によるものです。
拮抗作用は「基礎知識 2.微生物の世界」で説明しました。
体内に入ってしまったウイルスと抗生物質に入っている微生物が対立し、微生物がウイルスの増殖を抑えることで病気を治します。
さらに、抗生物質は動物の代謝や機能に影響を及ぼさず、病原菌にだけ効果を発揮します。
最初に抗生物質を発見したのはイギリスの医師フレミングです。
彼は戦後、感染症の治療薬の研究をしていました。
1929年、ブドウ球菌(病原菌の一種)を培養していたとき、培養皿にたまたま落ちたアオカビの周りだけブドウ球菌が溶けているのを発見しました。
その後、アオカビには抗菌物質が含まれていることが分かり、初の抗生物質であるペニシリンが誕生しました。
現在4000種類以上の抗生物質が発見されていて、実用化された抗生物質は100種類以上あり、感染症やがんの改善に役立てられています。
民間療法の発酵
古くから、発酵食品は健康によいと伝えられています。
「微生物が生み出す発酵食品」で、それぞれの食品の健康効果を紹介しました。
例えば「酒は百薬の長」ということわざのように、酒は世界中で様々な病気の薬として用いられてきました。
他にも、プロバイオティクス(生きたまま腸に届き、腸内環境を整えて健康効果をもたらす微生物)である乳酸菌で発酵させて作るヨーグルトは、最近広告やCMで整腸作用が紹介されているので、知っている人も多いと思い
ます。
古くから伝わる発酵食品は素晴らしい健康効果を発揮します。
皆さんも毎日の食生活に発酵食品を取り入れてみてはいかがでしょうか?
まとめ
・抗生物質は微生物の拮抗作用を生かした医薬品で、感染症やがんの改善に役立てられている。
・古くから伝わる発酵食品の健康効果にも目を向けましょう。
世界を救う発酵
2. 環境汚染の解決に貢献する発酵