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  "酵母の力が欠かせない!おいしいビールの秘密を探る"


アサヒビール株式会社 茨城工場


https://www.asahibeer.co.jp/brewery/ibaraki/

【場所】茨城県守谷市  【見学日】2019年3月29日


20歳になったらビールを飲むことができますね。
未成年は味やおいしさを想像することしかできませんが、ビールのCMでは本当に幸せそうな表情なので、きっと魅力的な味わいなのでしょう。では、そのおいしさは一体どのように作られるのでしょうか?

ビールや日本酒、パンなどの発酵食品を作り出すのに欠かせないのは「酵母」のはたらきです。
酵母は直径1/100mmの球形または卵形の小さな微生物です。コップ1杯分(200ml)のビールに、なんと約100億個の酵母が動員され、麦芽糖をアルコールと炭酸ガス(二酸化炭素)に分解します。
このことからCMでよく聞く「キレ」「コク」「のどごし」などの特徴は、酵母が発酵することで生まれるのだろうと考え、工場見学に参加しました。


ビールは何からできている?



主原料は麦芽(二条大麦)、ホップ、水です。他に必要に応じて副原料を使用します。
米、コーン(とうもろこしを粉砕したもの)、スターチ(とうもろこし由来のでんぷん)、糖類(とうもろこし等を糖化させたシロップ状の原材料)です。
副原料の役割は、麦芽のでんぷん質を補い、たんぱく質とのバランスを調整し、ビールの風味をすっきりした味わいに整えることです。


 豆知識@


 ビールは大麦から直接作られることはなく、製造に使用するのは「麦芽(モルト)」です。
 はじめに大麦に水と空気を与え発芽させ、その後熱風で乾燥(焙燥)し、成長を止めます。
 根の部分を取り除けば(脱根)、麦芽の完成です。



豆知識A


ビールの香りと独特の苦みは「ホップ」で決まります。
ホップはアサ科の雌雄異株のツル性植物で、ビール製造には受粉していない雌株の毬花のみ使います。
ホップには
 @ビール独特の香りとほろ苦さを与える
 A余分なたんぱく質を凝固、分離しビールをクリアにする
 B雑菌の繁殖を抑え日持ちをよくする
 Cビールの泡立ち、泡持ちをよくする
という重要なはたらきがあります。



おいしいビールになるために



酵母は単細胞生物で、酵母自身が生きるために必要なエネルギーを得るため、糖(麦芽糖)を体内に取り込み、その副産物として炭酸ガスとアルコールが発生します。
このように、糖を炭酸ガスとアルコールに分解する発酵を行うことで、麦や米などの原料から酒(ビールやワインなど)やふっくら膨らんだパンが作られるのです。酵母の生きる力が発酵食品に活かされています。



よく冷やした麦汁に酵母を加えると発酵開始です。酵母はまるで赤ちゃんを産むようにどんどん増えます。
麦汁中の糖分がアルコールと炭酸ガスに分解され、約一週間後に「若ビール」ができます。
さらに数十日間タンクでじっくり熟成させれば「生ビール」の完成です。



瓶詰めやラベル貼りなど、目が追いつかないスピードで機械が動いていましたが、最後は瓶にわずかな傷や不良品が無いかを必ず複数の目視で確認し、安心安全なビールを届けるため、徹底した品質管理をしていることが分かりました。



まとめと感想


ビールの主原料は麦、ホップ、水のたった3種類でしたが、微生物の力によってそれぞれの食品にはない独特の苦味と風味が生まれ、全く別の飲料に変化していました。発酵の力がおいしさの素でした。

しかしそれ以外にも工場見学を通して学べたことがありました。
アサヒビールの全工場で「工場廃棄物再資源化100%」の維持・継続に取り組み、全副産物と廃棄物を再資源化しています。しかも自家発電した電力以外も「グリーン電力(太陽光・風力・バイオマスなどの再生可能エネルギー)」を利用し、エコな電力で賄っているそうです。

温暖化対策や資源を循環させることの大切さを理解していても、ここまで徹底的に取り組むのはなかなかできないのではと驚きましたが、実際このように積極的に取り組んでいる企業を知れて、収穫が多い見学になりました。